ダイヤモンド・イン・パラダイス

この俺に、盗めないものはない――。

引退したはずの宝石泥棒と彼の逮捕に執念を燃やす刑事が世紀の財宝を巡って繰り広げる対決を描いたサスペンス・コメディ。

皇帝ナポレオンが所持していたという3つの“ナポレオン・ダイヤモンド”のうち、2つを盗み出したのを最後に泥棒稼業を引退したマックス(ピアース・ブロスナン)とローラ(サルマ・ハエック)の泥棒カップルはバハマのパラダイス・アイランドで平穏な生活を満喫していた。しかし、彼らを執拗に追うFBI捜査官スタン(ウディ・ハレルソン)が2人の前に現れたことから悠々自適の生活が狂いはじめる。

スタンは島に一時停泊している豪華客船にナポレオン・ダイヤモンドの最後の1つが展示されており、マックスはそれを狙ってこの島にやってきたのだと言う。その言葉を聞き、引退するというのは嘘だったのかとマックスに激しく詰め寄るローラ。平穏な生活を願い、再び昔の仕事に戻らぬようにマックスに懇願するローラだったが、やがてそのダイヤを狙うギャングのアンリ・モレー(ドン・チードル)もマックスに接近してくる。


いきなり遠隔操作の車が登場して「ワールド・イズ・ノット・イナフ」の焼き直しかとオモタ。しかも劣化版。冒頭から全く血湧き肉躍らない展開に逆に驚く。サスペンスものだよね?なのに何故こんなにまったりしておるのだ。ピアース・ブロスナンはワリと好きな役者なんで頑張って観たが、最後まで腕利きの泥棒には見えないのに悩む。それとサルマ・ハエックとカポーっていうのに激しく違和感。なんかタイプが全然違う。ウディ・ハレルソンがどう見てもFBI捜査官というよりはFBIに追われてる極悪人にしか見えないのも減点。

一応サスペンスもののはずなんだが、盗みのシーンなんて冒頭とラストの数分ずつですよ。大半がピアース・ブロスナンとウディ・ハレルソンの変なコントみたいなやり取りや南国バハマでのほほんと暮らすおっさんのお話ですよ。しかもブロスナンがビール腹(泣)。ミーは悪人面ハレルソンとベッドを共にするブロスナンが観たかったワケじゃない!ムサイおっさん同士がキャイキャイと日焼け止めを塗りあう姿が観たかったワケじゃないッ!

肝心のお宝が100万ドルぽっちというのにも激しく落胆。スケールちっちゃい。ナポレオン・ダイヤモンドだろ?世界に3つしかないんだろ?しかもけっこうカラット的にデカかったぞ?それがたったの100万ドル?一体いつの時代の貨幣価値なんだッ。

とにかく本筋には関係ないバハマでのだらだら生活が延々と続き、起承転結に乏しいのが最大の難点。サルマ・ハエックは相変わらず美しいが、ご馳走も毎日だと飽きるよなぁと思った。泥棒カップルの恋愛ドラマにしたかったのか、泥棒とFBI捜査官のバディものにしたかったのか、どうにも中途半端な出来の作品。映画というよりTVの2時間ドラマみたい。

ピアース・ブロスナンが南国バハマでサルマ・ハエックといちゃいちゃしたい為だけに出演したとしか思えない作品。
2004年/アメリカ/98分/監督:ブレット・ラトナー
AFTER THE SUNSET
2010.01.17記

「5分、3分、いや2分!俺は早いッ」
アイ★ラブシネマTOPに戻る