007/カジノ・ロワイヤル

最初の任務は、自分の愛を殺すこと。

6代目ボンドが初登場するシリーズ21作目。初の金髪ボンドがんばる。

殺しのライセンス“00(ダブルオー)”を得るために昇格の条件である2件の暗殺任務を成功させたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は007として初めての任務につく。それは犯罪組織の資金源を断つ為の調査だったが、ボンドの行き過ぎた行為により生け捕りが条件だった爆弾男を射殺。それもあろうことか侵入したアフリカの某国大使館内で爆破騒ぎを起こした上でだった。怒り心頭のM(ジュディ・デンチ)は昇格は早すぎたのではとボンドの若さゆえの行動を危ぶむ。しかし爆弾男が所有していた携帯電話からの情報を元にル・シッフル(マッツ・ミケルセン)という男に辿り着くボンド。

ル・シッフルは表向きは投機投資家だが、その正体は天才的な数学の才能を生かし、パートナーであるミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン )と組んで世界中の犯罪組織の資金運用をする死の商人だった。マイアミ国際空港でテロを引き起こし、株式市場での大儲けを企んでいたル・シッフルだったがボンドに直前で阻止され、1億ドル以上の損失を被ってしまう。各国の犯罪組織から得た投資金を返済するためにポーカーの名人であるル・シッフルがモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ること知ったボンドはそれを阻止せんと現地へと向かう。そんなボンドの元に財務省から監視役としてヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)が派遣される。お互いに相手に対して懐疑的な態度を取る2人。しかし危険を共にする内に次第に心惹かれていくのだが─。


やっと観たぞ、金髪ボンド。30代に見えないぞ、金髪ボンド。常に傷だらけだぞ、金髪ボンド。秘密兵器が地味すぎるぞ、金髪ボンド。…金髪、金髪ウルセェなぁ。スマソ。007ファンとしては6代目ボンドのダニエル・クレイグに懐疑的な目を向けておったワケで。公開後の大絶賛の声を聞いても未だに観てなかったワケで。何故かって?それはダニエル・クレイグが地味すぎるからデス!

…いきなり、ぶっちゃけたな。いや、スパイ的には間違ってないと思うよ。スパイが目立っちゃいかんと思うし。デモ、007作品ですから。ジェームズ・ボンドに華がないのは甚だしくイカンと思うワケよ。リアリティとかそういうのは求めてないワケですよ。他のスパイ作品でやってくれ。無意味にド派手!ムダに秘密兵器!有り得ないくらいに超絶アクション!お姉ちゃんはダイナマイッ!それが真の007映画と思っておるKOROはなかなかクレイグ・ボンドに食指が動かんかったとです。デモ観た。そしたら意外とオモロだった。あんれまぁ〜。ま、オモロかったんだけど。ガンバレル・シークエンスも従来とは違った作りだったが、これはこれで凝っており楽しめましたが。なんつ〜か地味だ。まず主題歌がたまらなく地味だ。全然、印象に残らない。クリス・コーネルって誰だ。主題歌のタイトルは映画とは別タイトルの“You Know My Name”。“Do you know me?”と間違うわ。それはジャック・ニクラウスだ。そして歌手じゃないぞ。

話が逸れた。とにかく。冒頭から新ボンドシリーズを強調するかのように新たな試みや従来のシリーズではほぼ見受けられることのなかった描写が沢山盛り込まれております。モノクロ映像の挿入やアバンタイトルでのスーパーアクションの排除、オープニングテーマにお姉ちゃんシルエットがない、雨のシーンがあること(そういや、何故か007シリーズって雨のシーンがないよなぁ)、ボンドの顔に常に任務で負った傷痕が残っている、ラストシーンがラブシーンでない(実に「女王陛下の007」以来ですよ、アナタ)。

なにより一番の見せ場(なのか?)はMの伴侶が登場することです!なんとMと旦那さんの就寝シーンが拝めちゃいますよッ!←何故、興奮。旦那さんってどういうお仕事してる人なんだろ。意外とスーパー・マーケットの店長とかでMの仕事のコトを知らないフツーの人の好いおじさんだったりして。あぁ、いかん。また妄想特急になってしもうた。通常は渋い爺を見たら異常興奮するKOROなんですが、何故かMにも興奮しちゃうんだよなぁ。なんつ〜か、あの婆ちゃんセクシーなんだわ。皺くちゃだし、性格も間違いなく悪いと思うんだけどスゲェ色っぽいんだよなぁ。ミーが新米ボンドでMの自宅で2人きりになったら間違いを起こしそうな予感満載で色気があるんだよなぁ。え〜と。ミーは決して同性愛嗜好でもババ専でもありませんから!誤解しないでちょうだいッ!

またまた話が逸れた。軌道修正。新しい試み盛り沢山の新生ボンドシリーズ。ダニエル・クレイグが頑張ってマシタよ。地味だけど。冒頭の爆弾男の追跡劇はクレイグ・ボンドの頑張りぶりよりも爆弾男の人間離れした身体能力に目を奪われましたが。アンタはヤマカシか←違

アクションは概ね、満足。タイトなストーリー展開もヨロシイ。ダニエル・クレイグの鍛え上げられた肉体もなかなかですたい。出来れば胸毛が超密林並に密生してれば尚、良し。ボンド・ガールはやや垂れ目な容貌が若干、ミーのお好みではないがおっぱいはデカいので可。ジャンカルロ・ジャンニーニが出ているのも嬉しい。だが、しかし。全編に漂う地味さ加減をどうしてくれよう。ボンド・カーはド派手なミサイル装備などは一切なくて、あるのは医療キットとAEDくらい。救急車か。Qが一切、登場しない上に秘密兵器も出てこない。携帯電話によるGPSやノートPCでの情報収集が主。便利だし、現代的でリアルっちゃ、リアルなんだけど地味。そして肝心の悪役がショボい。犯罪組織からの借金の取立てに怯える気弱なおっちゃんにしか見えねぇよ。本気でチビってそうな顔してたよ。涙腺の異常で血の涙を流すこととか喘息持ちだっていう設定は必要だったのか?

そして最大の不満点と申しますか、残念な点。かなりの時間を割いているカジノでの対決シーンにこれっぽっちも緊迫感がないトコ。全然、追い込まれた感がないんだわ。1億5千万ドルをかけた大勝負に全然見えねぇ。1,500円くらいの掛け金で争ってるのかとオモタ。それと日本人らしき設定のおっさんもゲームに参加してたんだが、そのおっさんが岩城○一にしか見えなくて気が散って仕方なかったぞ←それは関係ないかと思ふ。

ボンドとヴェスパーのやりとりも心理描写がいまいちで心情が伝わってこない。だからストーリー後半でボンドが○○しようとする気持ちも判らん。お互いが相手に心惹かれる理由が判りマセンわ。それにヴェスパーって○○がいるから…みたいな設定だったし。なんだかなぁ。

今作はこれまでのシリーズにはなかったタイプのお話。「バットマンビギンズ」みたいな誕生秘話を描いたストーリー。小説への原点回帰を図ったという声もあるようですが、シリアスなアクション映画は他にいくらでもあると思うわけで。007シリーズとして観なければ、充分に面白い作品だと思うし、ダニエル・クレイグはアクション、演技共に素晴らしかったと思う。地味だけど←しつこい。ただ、007映画はド派手なアクション満載で有り得ない秘密兵器てんこ盛りで常軌を逸したイカレポンチな悪役の登場するおバカ映画でいて欲しいような気がする。
2006年/アメリカ・イギリス/144分/監督:マーティン・キャンベル
CASINO ROYALE
2009.08.02記

「拷問シーンでのボンドのリアクションに笑うシーンなのか悩んだ」
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