ダークマン

顔を変え、生まれ変わる男。ダークマンとは一体何者なのか?

サム・ライミ監督が放つB級魂炸裂ホラー・アクション。

人工皮膚の開発に情熱を傾ける科学者ペイトン(リーアム・ニーソン)は恋人で弁護士のジュリー(フランシス・マクドーマンド)が手にした収賄事件の証拠書類が元で殺し屋一味に襲われ、瀕死の大火傷を負ってしまう。辛くも一命を取り留めたペイトンだったが、顔は焼けただれ以前の面影はどこにもない醜い姿となってしまう。さらに火傷の治療の為に神経を切断されて感覚が麻痺した結果、抑制心を失ない、超人的な力を発揮するようになっていた。ジュリーに恋しさに病院を抜け出し、彼女のもとへ向かうが変わり果てたペイトンを見分けられるはずもなく悲鳴を上げ、逃げるジュリー。沸々と湧き上がる感情。悲しみ、苦しみ、怒り。こんな俺に誰がしたッ!憎い、憎い!復讐だ!焼けただれた全身を人工皮膚で覆い隠し、暗闇の超人ダークマンとなったペイトンは絶望を復讐心に変えて犯罪組織へと立ち向かう。


ダークマンに「スパイダーマン」の原点をみた。1990年作なので特撮とかは確かにショボいですよ。しかし、あの苦悩するダークヒーローぶりは正にスパイダーマン。まぁクモ男よりもエゲツないですケド。受けた恨みはきっちり3倍返しなダークマンですケド。人工皮膚が99分しかもたないって設定もヨイ。ダークだけどコミカルな要素もあるのも素晴らしい。抑制心を失って、すぐ我を忘れて激昂するペイトン。ハッと気づき、情けなさ満点の表情で我が身を必死で抑えようとする姿に泣けると同時に笑えた。すごくツマンナイことで無茶苦茶、怒るんだもん。そして怒髪天をついたペイトンを見たジュリーの顔がまた笑えた。「アンタ、そんなコトで頂点に達しなくても…」という呆れと、そこまでやるのかという驚きがない交ぜになった見事な表情でございマシタ。

アクションも素晴らしいです。クライマックスのヘリからの宙吊り。高層ビルでの決死の戦い。手に汗握りますなぁ。ラストも異形のヒーローらしく哀愁漂う終わり方だなぁと思ったら、アナタ。ブルース・キャンベルがちらっと出てきて苦笑。

再見してペイトン役がリーアム・ニーソンだったと気づいた時は驚きましたが、人工皮膚を身につけ元の姿のペイトンになってジュリーと再会する時の嬉しさと不安が交錯した表情や仕草、ダークマンとなり突然超人的な力を手に入れたとまどい、抑えがたい怒りの感情、苦しみながらも復讐を遂げていく姿に説得力があって、納得のキャスティング。

サム・ライミの本領を発揮したグロいシーン満載なので、万人受けするとは思えませんが潔いまでのB級ぶりがミーのハートを掴んだダークヒーローものの快作です。
1990年/アメリカ/96分/監督:サム・ライミ
DARKMAN
2008.01.22記

「ピンクの象をくれ!」
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