ダーティ・ダンシング

ヘイ・ベイビー、身体で気持ちを伝えたい。

1960年代を舞台に家族で避暑地を訪れた17歳の少女が経験するひと夏の恋をセクシーなダンスを絡めて描いた青春ラヴ・ストーリー。

1963年。それはビートルズが登場する前、ケネディ大統領が暗殺される前のお話。そして17歳の私にとってパパがまだ最高の恋人だった頃の出来事。

多忙な父が6年ぶりの休暇を取り、一家で知り合いの山荘へ避暑に訪れた17歳のベイビー(ジェニファー・グレイ)は山荘に到着した晩のパーティで今まで見たこともないような激しいダンスを踊るカップルに出会い、唖然とする。2人は山荘のダンス教師、ジョニー(パトリック・スウェイジ)とペニー(シンシア・ローズ)だった。パーティのあと、散歩に出かけたベイビーはボーイのビリーの案内で従業員だけの秘密のダンスホールに行く。そこでジョニーと再会し、ダンスに誘われる。激しくセクシーなダンスに初めは尻込みするベイビーだったが、ジョニーのリードで自然に身体が動き出していた。

ある日、ジョニーのパートナーのペニーが妊娠していることが判り、手術を受けることになるが、その日が彼女とジョニーの大事なショーの日と重なってしまう。ショーをすっぽかせば2人はクビを切られてしまう。ベイビーはペニーの代役としてジョニーにダンスの猛特訓を受けることになるのだが─


この作品が公開される数年前にダンス映画ブームがあったような。「フラッシュダンス」や「フットルース」とか。「ステイン・アライブ」とかもあったなぁ。どれも1980年代前半なんで、この作品はちょっとブームに乗り損ねた感があったのだが。製作費600万ドルの低予算映画ながら全世界で2億ドル以上も稼ぎ出したそうですわ。こりゃまたびっくり。そんなにヒットしたとは知らんかった。ミーは公開当時に映画館に観に行ったんだが、タイトルのわりにそんなにダーティなダンスじゃねぇなぁというのが当時の正直な感想。

ダンスシーンはパトリック・スウェイジが元バレエ・ダンサーということもあってホントに素晴らしい。シンシア・ローズと共にキレのあるステップ、しなやかな動き。指先にまで神経が行き届いた動きに見惚れる。こんなに踊れたら、ホントに気持ちいいだろうなぁと素直に感心してしまいましたよ。ヒロインを演じたジェニファー・グレイもダンスの経験があるとかで、とてもイイ動きをしてた。しかし、すいぶんあとになって知ったが、ジェニファー・グレイって当時27歳ですと。見えん。パトリック・スウェイジも35歳ですが、多分25歳くらいの役を演じてたのではないかと。

ずいぶん昔に一度観たきりなんで、脳内で美化されてたらしく、ひと夏のほろ苦い恋の物語と思い込んでた。しかし、観直してみるとドラマ部分は単調。ベイビーがジョニーからダンスの猛特訓を受けるトコは徐々にダンスが上手くなっていく過程がイイんだけど、それ以外はフツー以下の出来かも。ありがちで先の読めるストーリー、判りやすいキャラクタと設定。演出が単調なんでダンス・ショーに出て以降の展開がやや退屈。

低予算で仕方ないのかも知れんが、あんまり1960年代の雰囲気を再現出来ていないのも残念なトコロ。文句ばっかり書いてますが、主役2人は本当に魅力的。パトリック・スウェイジって顔はゴツいけど男の優しさが漂ってていい。ジェニファー・グレイも可憐。2人が踊ってる時は画面がキラキラ輝いて見えるから不思議。本人達がキッチリと踊れるのが強みですね。ただラストはもうちょっと工夫して欲しかったかも。
1987年/アメリカ/105分/監督:エミール・アルドリーノ
DIRTY DANCING

「しかしアメリカ人の夏休みは長いな」
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