恐竜の卵を見つけたのび太が現代に首長竜を誕生させ、恐竜時代へ帰そうと奮闘する姿を描いたドラえもん劇場版第1作目。
ある日、しずかちゃんやジャイアンと共にスネ夫の家にやってきたのび太。ティラノサウルスのツメの化石を自慢するスネ夫に対抗して、のび太は「恐竜のまるごとの化石を発掘してみせる」と出来もしないことを宣言してしまう。しかも「出来なきゃ鼻からスパゲティを食べてやる!」とまで言ってしまう。いつものようにドラえもんに泣きつくのび太だったが、「日本にティラノサウルスなんかいなかった」と冷たくあしらわれ、一人で化石探しをはじめることに。ひょんなことから恐竜の卵らしきものを発見したのび太は有頂天。タイム風呂敷を使って卵を化石になる前の状態に戻し、ママやパパに叱られても布団にくるまり、卵の孵化に励む。そして…。生まれてきたのはなんと白亜紀の日本近海に棲息していたフタバスズキリュウの赤ちゃん。のび太はこの首長竜をピー助と名づけ、育てることにする。
のび太のいっぱいの愛情を受けてピー助はどんどん成長し、やがて匿うにはあまりにも大きくなってしまう。一旦は公園の池にピー助を放つのび太だったが、「公園の池に怪獣がいる」と噂が広まり、仕方なくタイムマシンでフタバスズキリュウがいた白亜紀へ戻す決心をする。しかし、超空間の移動中に謎の男に攻撃され、ピー助を奪われそうになる。どうにか白亜紀にたどり着き、涙ながらにピー助と別れるのび太。しかし、数日後タイムテレビでピー助の様子を確認するとそこに別の種類の首長竜にいじめられているピー助の姿が!どうやら誤って日本ではなく北米に送ってしまったらしい。ピー助を日本へ連れ戻そうとのび太はドラえもんやしずかちゃん、ジャイアン、スネ夫と共にタイムマシンに乗り込み白亜紀時代へと向かうのだが…
記念すべきドラえもん映画の第一作目。1980年の作品です。観直してびっくりだったのは意外にも涙、涙の展開じゃないトコ。確かに序盤でピー助を白亜紀に戻して涙ながらにお別れするシーンはしっかり貰い泣きしてしまったが、この作品の肝はそこじゃないんだな。ピー助を白亜紀の日本へ連れ戻すことになる中盤からのアドベンチャーがメインなのです。1億年前の地球にご旅行ですよ。スケールがデカイったらねぇや。
ま、ぶっちゃけ別の世界へ来たのはいいがトラブルが起きて元の世界へ戻れなくなった上に悪人まで出てきちゃって、のび太をはじめとした5人の力でその悪人を倒してハイ、めでたしめでたしというドラえもん映画の王道が既にこの作品で出来上がっているといえば身も蓋もないワケなんだけど、演出が妙に奇抜といいますかサイケデリックといいますか。タイムマシンで超空間を移動する際の映像がとんでもなくサイケなのに驚いた。バッドトリップ感満載の描写にびっくらこきマシタよ。
ジャイアンがコロコロと態度を変えるイヤなヤツなトコとしずかちゃんのあられもない姿が何度も登場するのにも驚いた。パンチラどころか全裸まで。しかもおっぱい丸見えッ。いいのか?ま、この作品のしずかちゃんは正直、あんまり可愛く描かれてないので恥ずかしさ半減ですけど。しずかちゃんの全裸はともかく。
白亜紀を冒険するのび太一行の姿には大人になった今でもワクワクさせられる。桃太郎印のきびだんごを使ってミーもティラノサウルスに乗ってみたいよ。初期のドラえもん作品はただ単に友情の素晴らしさ、美しさを謳っているだけではなく、しっかりとしたテーマがあったなぁ。スピルバーグの「ジュラシック・パーク」にも繋がるものがあるが、やはり本来あるべきところにあった方が幸せなのだ。人間のエゴで現代に恐竜を蘇らせてはいけないのだよ。
ストーリー後半での恐竜スタジアムでの描写がいまいちで恐怖度がかなり半減している点や、デカいサイズの時のピー助の声がムリヤリ低音で「ピュ〜イ」と言ってるのに引いた点、しずかちゃんが一切カワイくない点などは残念ですが、起承転結に富んだ展開、そしてお涙頂戴なだけのエンディングになっていないところがいい。
1980年/日本/94分/監督:福富博
ドラえもん のび太の恐竜
2009.03.10記