もしもボックスで現実の世界を魔法の世界に変えてしまったのび太が、仲間たちと魔物が支配する魔界から地球を守るため魔界へ旅立つ劇場版第5作。
魔法を使って大活躍する夢を見たのび太は現実世界でも魔法が使えたら便利なのにと考え、もしもボックスで現実世界を魔法世界にかえてしまう。しかし魔法世界でものび太は落ちこぼれ。小学1年生で習う魔法さえ満足に使えない有様。ある日、しずかちゃんと空飛ぶほうきで空中散歩に出かけたのび太は山奥の屋敷に住む魔法研究家の満月博士と娘の美夜子に出会う。満月博士の研究によると魔物たちが支配する魔界が地球に近づきつつあるという。魔界が地球に到達した時、それはすなわち世界の終わりだと訴える博士。落胆したのび太は元の世界に戻そうとするが、ママが粗大ゴミと勘違いして、もしもボックスを捨ててしまっていた。やがて台風や地震が頻発するようになり、魔界が接近しているのではないかと心配になったドラえもんとのび太は満月博士を訪ねるために屋敷へ向かうが…
素晴らしいッ。ドラえもんとのび太の前にいきなり現れる2人にそっくりな石像。そしてその石像が忽然と消えてしまう謎。ステキなお姉さんの美夜子さん。パラレルワールド。ここで終わりなのか?と思わせる展開。魔界の荒涼とした風景。張り巡らされた伏線。最近のドラえもん映画はストレートに友情路線まっしぐらですが、初期の作品はストーリーの根底に友情はあるけれど、声高に訴えてないとこがいいのよねぇ。この作品も魔界で美夜子さんがのび太に言う台詞にそれを感じた。泣いちゃったよ、真剣に。
スリリングな展開はアドベンチャー要素満点だし、巧妙なストーリーの絡ませ方はサスペンス度高いし、ドラえもん映画という枠を超えてミーのオールタイム・ベスト作品なのですが、なんといっても一番のポイントは美夜子さんですよッ、アナタ!あの気丈さと優しさ、美しさ。ミニスカート姿の爽やかなお色気。ミーがこの作品を観た時にもし小学生で、しかも男の子だったら確実に初恋の人は美夜子さん!アナタですッ!←言い切ってるなぁ。
のび太の小さな思いつきから、やってきたパラレルワールド。そこで繰り広げられる大魔王との戦い。美夜子さんのために、仲間のために、自分達の世界のために。のび太が勇気を奮い起こし、困難に立ち向かう姿に素直に胸を打たれます。のび太たちと同じように驚き、ハラハラドキドキしながら画面を見つめている自分がいる。美夜子さんはもちろん満月博士も敵である魔物たち、全てのキャラクターが丁寧に描かれて魅力的なのもこの作品の大好きなトコロ。
1984年の作品ですが、今観てもその練り込まれた内容に唸るばかり。そして怖い。
1984年/日本/98分/監督:芝山努
ドラえもん のび太の魔界大冒険
2008.01.08記