007/リビング・デイライツ

危険を生きるニュー・ジェームズ・ボンド

四代目ボンドにティモシー・ダルトンが扮した007シリーズ第15作目。

ソ連の高官コスコフ将軍(ジェローン・クラッベ)が西側への亡命を希望。ジェームズ・ボンド(ティモシー・ダルトン)はチェコに飛び、計画の実行にあたる。チェリストのカーラ(マリアム・ダボ)の妨害にあうも亡命は成功。英国に渡ったコスコフは英国情報部にKGBの現長官プーシキン(ジョン・リス=デイヴィス)の指揮の下、西側スパイ暗殺計画が実行されつつあるということを告げる。暗殺計画を阻止するべくウィーンに向かうボンドだったが…


お〜おおお〜リヴィンデイライ〜♪。この作品はタイトルを聞いただけでa-haの歌うテーマソングが頭の中でしつこく流れる。007映画のテーマソングは女性ヴォーカルの方が似合ってる気もしないではないが、この曲はヨイ。お〜おおお〜リヴィンデイライ〜。

歌ってる場合か。ムーアお爺ちゃんが勇退して犬顔なティモシー・ダルトンにバトン・タッチした作品ですよ。しかもシリーズ誕生25周年を記念して製作された作品ですよ。熱く語らないと。ダルトン・ボンドの魅力を存分に語らないと。

ヨッ!四代目!…以上、四代目ボンドの魅力をKOROが熱くお伝えシマシタ。全然語ってないよ。ホントに007映画ファン(自称)かよ。え〜と。ダルトン・ボンドはキライではないのですよ。少々おばっちゃま過ぎてワイルドさが足りないし、ユーモアにも欠けてるし、エロな面も超一流のスパイという雰囲気も薄い犬顔ダルトンですが、決してキライなワケではない。この作品はストーリー展開もアクションのキレもヨイ。アバンタイトルはジブラルタルでのパラシュート降下演習。冒頭から緊張感溢れるアクションぶり。物語の舞台はイギリスにはじまり、チェコ→ウィーン→タンジール→アフガニスタン→パキスタン→タンジールと国はそんなに多くはないが、めまぐるしく移動するので、訪れる場所はかなり多い。初心に戻ったかのようなタイトな展開、英国紳士と非情なスパイの顔を併せ持ったボンドを見事に演じていたティモシー・ダルトン。彼の知名度がネックとなり、興行的には大成功とはいえなかったかもしれないが、シリーズ屈指の出来といえる。

しかし。…ボンド・ガールが子リス顔ッ!巷では清純派とか言うのかもしれませんが、ミーの目には子リスにしか映りませんよッ!若しくはチョコレートの「小枝」。全然お色気がありマセンよッ!どうして25周年記念作品でボンド・ガールが子リスなんだッ!新マネーペニーの方がよっぽどセクシーだ!憤慨。憤怒。憤懣やるかたない。ミーは遊園地で子リスと無邪気に戯れるボンドが観たいワケではナイ。小枝みたいな少女チックなボンド・ガールを期待してたワケでは断じてナイ。セクシーダイナマイッなボンド・ガールとムフフな雰囲気になるボンドが拝みたいのだッ。お色気ムンムンなボンド・ガールを心ゆくまで堪能したいのだッ。

役名のつくボンド・ガールがマリアム・ダボが演じるカーラのみであったというのは、傑作である「ロシアより愛をこめて」や作品中で唯一、ボンドが○○する「女王陛下の007」を髣髴とさせる真のロマンス・ストーリーを目指していたからだと思われるのに、肝心のボンド・ガールが子リスで小枝?納得出来ん。このモヤモヤ感をどうしてくれよう。

そして悪役のスケールがとてつもなく小さい。物語のスケール感はシリーズの中でもかなり上位だと思われるのに、悪役がそれを相殺するかのようにちっちゃいヤツ。もう誰が悪役だったかさえ、記憶が曖昧になってるほどに小粒。またしてもモヤモヤ感発生。

荒唐無稽さを抑えつつ、キレのあるアクションとスリリングな展開、ボンドの真剣なロマンスをも描いた内容は素晴らしいと思うが、ボンド・ガールの小枝チックさと悪役の小粒感が足を引っ張ってるような。子リス顔が気にならない方には充分楽しめる007作品デス。
1987年/イギリス/132分/監督:ジョン・グレン
THE LIVING DAYLIGHTS
2008.04.25記

「チェロのケースに乗って国境越え」
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