007/ムーンレイカー

遂に宇宙をも制覇した史上最大の娯楽巨編!

何者かによって奪われた有人宇宙連絡船“ムーンレイカー”を巡り、007がベニスにリオ、アマゾン、宇宙にまで飛び出して人類抹殺を企む謎の組織と戦うシリーズ第11作目。

イギリスへ輸送中のアメリカのスペース・シャトル、ムーンレイカーがアラスカ上空で突如何者かによって奪われる事件が発生。調査に乗り出したジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、M(バーナード・リー)から事件の背後に浮かぶある人物について聞かされる。その人物とは、アメリカ西部に宇宙センターを築き、NASAに協力してムーンレイカーを開発、製造してきた謎の科学者ドラックス(マイケル・ロンズデール)。早速、ドラックスの元へ訪れるボンドだったが…


これは007映画なのデスカ?全然007のテーマが流れるシーンがない。前作で登場した殺し屋ジョーズ(リチャード・キール)との空中戦で始まる冒頭は面白いデス。ドラックスの屋敷に潜入して情報を集めるシーンや狩猟場でのクールに刺客をやっちゃうボンドもカッコイイ。デモ、事件の謎を追って世界各国を飛び回るようになると、なんだか変な方向へ。剣道着姿の刺客がボンドを襲っちゃってますヨ?何故に剣道着?竹刀でどうやって殺すつもりだ?その格好は激しく刺客の装いから逸脱してるだろ。その後もリオのカーニバルでジョーズがかなりおバカだったり。いきなり西部劇スタイルになったり。ローハイドかと思った。クライマックスは「スター・ウォーズ」そのまんまなノリ。えぇ?それとアマゾン上流にのみ生息する幻の蘭の性質をスラスラと説明するボンドにキミは雑学博士か!とツッコミたくなりました。いくら博識なボンドでも、それはないだろ。

それとドラックスの人類抹殺計画の理由に脱力。そういう理由ならアナタは一番に失格ざます!ボンドに計画の盲点をつかれて、「アァッ!」と驚く表情もオマヌケなら死に様もオマヌケ。「ダイヤモンドは永遠に」のブロフェルドの死に様もかなりダメだったケド、ドラックスも負けてませんな。

なんだか前作「私を愛したスパイ」の大成功に調子に乗ったスタッフが異常なまでのノリで作ったらしいこの作品。たしかにストーリーは全くなってないですが、その尋常とはいえないおバカなパワーに圧倒されて面白いといえば面白いデス。ただ、全編に漂うギャグっぽいノリにいつにも増して荒唐無稽というかそれじゃマンガだろってカンジ。ジョーズがイイ人になっちゃうのもイヤ。
1979年/イギリス/126分/監督:ルイス・ギルバート
MOONRAKER

「再突入」
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