地球最後の男オメガマン

細菌兵器の使用によりほぼ全ての人類が死滅した世界。自ら開発したワクチンによってたった一人生き残った科学者は、異様な姿となってしまった人々と戦い続けるのだが…。リチャード・マシスンの小説「吸血鬼(地球最後の男)」の二度目の映画化。

アメリカ、ロサンゼルス。かつて起こった細菌戦争により、ほぼ全ての人類が息絶えた世界。ただ一人、健康な状態で生き残ったのは、自らが研究していた抗体ワクチンを注射した科学者のロバート・ネビル(チャールトン・へストン)だけだった。彼以外で生き残った人々は細菌の影響で肉体を蝕まれ、肌や髪の毛が真っ白になり、太陽光線を浴びることが出来ない身体になっていた。彼らはマサイアス(アンソニー・ザーブ)をリーダーとして“家族”と称し、自分達を苦しめる元凶となった科学技術を憎み、また科学技術を駆使して自分達に対抗するネビルも敵視していた。

日々、“家族”との戦いに明け暮れるネビルだったが、ある日“家族”ではない女性の姿を発見し、追跡する。だが追跡の途中で“家族”の罠にかかり、捕らえられるネビル。“家族”によって処刑されることになるが寸前のところで先ほどの女性リサ(ロザリンド・キャッシュ)とその仲間に救い出される。ネビルはリサの仲間達と共に、より安全な場所を求めてロサンゼルスを離れることにするのだが──


なんだこれはッ!噂には聞いていたが、なんだこの安っぽさはッ!まずタイトルが安っぽい戦隊ものみたいで萎え。最後の男だからオメガマン?この安直なセンスに呆然。さらに全然チャールトン・へストン扮するネビルが、地球で最後の男になってしまったことに対して寂しさとか辛さを感じてないようにしか見えないのにも口あんぐり。ビバ!ロンリー・ライフみたいな。

冒頭の荒涼としたロサンゼルスの雰囲気はかなりイイと思うし、三度目の映画化作品の「アイ・アム・レジェンド」より街の様子はリアリティがあったと思う。埃っぽいし、人間の死体もあった。ところがどっこい。肝心のネビルが説得力不足。ま、主役がチャールトン・へストンって時点で間違ってる気がする。シュワちゃんがゾンビ相手に頑張ってるとでも言いますか。ミス・キャストだろ、こりゃ。

とにかくヘストン演じるネビルには、地球最後の男になってしまった悲哀が全く感じられマセン。“家族”との戦いも楽しみながら狩ってる風にしか見えない。そりゃ恨み買っても仕方ないだろってカンジ。おまけに「今日は何曜日だ?日曜日か?」と言いながら、ドレスアップ。どうも日曜日はドレスアップして優雅に過ごす習慣があるようですわ。ディナーもやたら豪華ですよ。ぶっといソーセージ茹でたり、高そうなワイン飲んだり。エンジョイ!ロンリー・ライフですか。

最初から最後までネビルに全く感情移入出来マセン。“家族”を見ればド派手に銃をぶっ放すし、優雅な暮らしをしてるし、危機感が全然ないのもいかん。外で“家族”が自分を狙ってるってのに窓全開ですから。なんだかなぁ。

そして“家族”。アンタ達はなんだ。細菌によって身体が冒された人たちっていうより、新興宗教集団にしか見えん。製作されたのが1970年代とはいえ、彼らのメイクはチープすぎる。単に白く塗ってるだけじゃねぇか。秘密っていうのも、どんな大層な秘密があるのかと思えば、そんなコトかよって秘密だったし。つ〜か彼らの外見を見れば予想がつくわ。彼らの攻撃方法がなんともショボいのも減点。本気でネビルをやる気があんのか。なんといっても一番の難点は彼ら“家族”が知能もあって会話も出来るところ。おかげで全く怖くない。なんだかなぁ、なんなんだろうなぁ。

ラストのシークエンスにいたっては噴飯もの。ネビルを○○○○になぞらえたかのようなエンディングには開いた口が塞がりませんデシタわ。どうしてそうなるのかなぁ。
1971年/アメリカ/99分/監督:ボリス・セイガル
THE OMEGA MAN
2009.12.07記

「おじさんの方が怖いよ」
アイ★ラブシネマTOPに戻る