電撃フリントGO!GO作戦

量産された007シリーズの亜流の中で最もお金をかけて最も面白い部類に入るアメリカ産スパイ映画。主人公フリントの無敵ぶりは笑うしかない。

悪の科学組織ギャラクシーが気象をコントロールして全世界を支配下に置こうと各国の首脳を脅迫。Z.O.W.I.E.(国際連帯秘密諜報機構)はこの陰謀を阻むために協議し、組織壊滅のためのスパイとしてデレク・フリント(ジェームズ・コバーン)に白羽の矢を立てる。しかし今はスパイを引退し、悠々自適の生活を送るフリントにその気は全くない。だが、いち早くフリントの存在を知ったギャラクシーがフリント抹殺計画を遂行。ギャラクシーより送り込まれたギラ(ギラ・ゴラン)の放った毒矢は間一髪、的を逸れたがその場に居合わせたZ.O.W.I.E.アメリカ代表でフリントの元上司であるクラムデン(リー・J・コッブ)に刺さってしまう。フリントの応急処置で一命を取りとめたクラムデン。これをきっかけにフリントは要請を受けることを決意。早速、毒矢から検出された成分を手がかりにマルセイユに飛ぶフリント。組織の奇襲に遭いながらもその中枢に近づいていくが…


キタ!電撃フリント!空手やフェンシングの達人でしかもボリショイ・バレエ団では教鞭を取っているスーパー・ガイ!面会に来た元上司に「おっとロシア時間だった」と時計の針をおもむろに直して、さりげなさ皆無で自慢するステキなフリントにしょっぱなから開いた口が塞がりませんよ。そして007も真っ青のモテっぷり。同居している愛人が4人ですよ、4人!秘密兵器は82種類の機能を持つライター。ライターとして使えば83種理の機能を持つスーパー・アイテムです。真っ向から007のQを挑発しております。0008というショーン・コネリー激似のスパイをボコるシーンがあったりと、かなり007を目の敵にしているようデス。そういやオープニング・クレジットも激しく007シリーズを意識した作りだったなぁ。かなりセンスが悪いけど。

フリントの能力もスゴイ、スゴイ。スゴ過ぎて苦笑するしかないつ〜か。毒矢に残されていた成分から毒矢を放った者が24時間以内にマルセイユのブイヤベースを食べたことを突き止ますからね。マルセイユ行きの便を手配しようとするクラムデンを制止して、「いや、自家用機で行く」なんて言ってくれますからね。ホントにステキに嫌味なスパイですよ←褒めてるつもり

どんな窮地に陥っても慌てず騒がず。なんてったってフリントはヨガの心得で死んだフリも出来るんですから!無敵すぎて全然ハラハラしねぇよ。スパイ映画なのに安心して観れちゃうよ。頭はいいわ、強いわ、モテモテだわ、金持ちだわで弱点ナシ。死ぬのも自由自在。ムテキング過ぎるわ。なんでもスーパーだったら、いいってもんじゃないんだが。

え〜と。全く褒めてないですが、ミーはこの作品が大好きです。フリントの超人ぶりが笑えますから。けっこう金は掛かってると思うんだが、全体に漂うキッチュというかチープな感覚がたまらなく好きなんですよ。仮死状態のフリントにお目覚めの時間を教えてあげる腕時計の動きが妙にアナログでいいのよね。「オースティン・パワーズ」でもパロってた大統領専用の通信機の着信音には爆笑しましたヨ。敵のアジトの妙な施設も笑えた。スゲェ嬉しそうにゴーゴー(古ッ)を踊るジェームズ・コバーンは必見。

それとクライマックスでかなりデカい岩石がフリントの愛人何号のドタマに思いっきりぶつかってるシーンにワラタ。フツー死ぬぞ。愛人さえも超人なのかよ。このユルさがたまりません。あ、フリント演じるコバーンのアクションぶりはなかなかです。ハイキックが非常にサマになっておりマシタ。手足が長くてカッコヨイ。冒頭での空手シーンの構えとか掛け声は、なんじゃこりゃでしたけど。「ドン!ドン!ボンッ!」

フリントがあまりに超人過ぎた故なのか、このシリーズは2作で終わってしまいましたが、リアリティを一切排除して娯楽に徹した超人フリントの活躍ぶりはかなり痛快。DVDもお安くなってますので機会があれば是非どうぞ。
1966年/アメリカ/107分/監督:ダニエル・マン
OUR MAN FLINT
2009.04.26記

「処置が4秒遅かったら死んでた。3秒です」
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