タイム・マシン/80万年後の世界へ

H・G・ウェルズの同名SF小説を映画化。時間を自由に旅することの出来る“タイム・マシン”を発明した科学者が体験する驚異の未来。

1899年、大晦日のロンドン。発明家のジョージ(ロッド・テイラー)は親しい友人達を招いて夕食会を開く。そしてその席上で彼はタイム・マシンという機械を発明したことを発表する。過去と未来、時間の世界を自由に行き来が出来る夢の機械。いくらなんでもそんなことが出来るわけがない。友人達はジョージの話をにわかには信じることが出来ないまま、帰宅していく。友人たちが帰ったあと実験室へ入り、タイム・マシンに乗り込むジョージ。レバーを倒すと周囲の風景が瞬く間に変わりだす。花は咲き、そして萎み、ショーウィンドウのマネキンの装いが目まぐるしく変わっていく。未来の世界大戦を目撃し、さらに未来へ。もっと未来へ。タイム・マシンのダイヤルが示したのは80万年後。そこでジョージが見たのは恐るべき未来だった。


オモロい。2002年のリメイクより1960年作のオリジナルの方が断然オモロい。そりゃ特撮技術とかは今の技術からすればヘボいですよ。肝心のタイム・マシンも座席は妙に座り心地が良さそうだが、マシンというよりはタイム馬車ってカンジだし。しかし夢がある。ロマンがある。微速度撮影と人形アニメーションを駆使して周囲の世界が猛烈に変化していく様子を再現した特殊効果がまず素晴らしい。CGを超えた想像力がそこにはありますよ。1960年の作品だからと侮ってはいけません。CGてんこ盛りのリメイク版を遥かに凌ぐ面白さがある。

ジョージが辿りついた80万年後の未来。そこは未来とはいいがたい世界。周囲の出来事に全く無関心なイーロイという種族が暮らすその未来は文明という概念からかけ離れた世界だと知り、愕然とするジョージ。ウィーナちゃんというカワイコちゃんとしっかり仲良くなっちゃうジョージですが、80万年後の世界には恐ろしい種族もいるんですよ、アナタ!ひぃぃ〜恐ろしいッ。まぁ実際はどうにもショボい特殊メイクなんで怖いつ〜よりはおマヌケにしか見えませんが、そんなことは無問題なんだよ!気分だ、気分。誰も見たことがない未来をイマジネーション豊かに描き、見事に映像化してるじゃありませんか。モーロックがショボかろうがいいんだよ。イーロイ達がジョージの決死の行動に衝き動かされて意志を持ち始める展開がこれまた泣かせるねぇ。

タイム・マシンを引きずり○○へ○○シーンは感涙もの。主役がリメイク版の猿顔ガイ・ピアースと違って男前なのもヨイ。夢の機械タイム・マシン。未来世界。そして冒険。人類の未来にはナニがあるのかという夢に加えて支配する者とされる者という資本主義における階級社会を痛烈に批判したタイム・トラベル映画の傑作。痛烈に社会批判しながらも冒険活劇の楽しさも損なわない展開がいい。未来に明るい展望を見出す結末に涙しながらもジョージの友人のようにニンマリしてしまう。何年経っても、何度観てもワクワクさせてくれる夢溢れる作品。
1960年/アメリカ/103分/監督:ジョージ・パル
THE TIME MACHINE
2009.03.09記

「3冊の本のタイトルが知りたい」
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