南極大陸の氷の下から宇宙最大の恐怖が蘇える!
南極。見渡す限り氷に囲まれた大雪原をヘリに追われて逃げる一匹の犬。その犬はやがてアメリカの南極観測基地へと辿り着く。ヘリに乗るノルウェー隊員が銃を乱射したため、アメリカ隊員はやむなく彼を射殺する。何故、ノルウェー隊員はあれほどまでに取り乱していたのか。原因を探るためにノルウェーの基地を訪れたマクレディ(カート・ラッセル)達が見たものは無人のノルウェー基地と焼け焦げた死体。そして何かを運び出したかのような痕跡。一体、ここで何が起きたのだろうか。
ノルウェー隊が残したビデオテープを調べていくうちに、やがてあることが判る。どうやら彼らは10万年前に地球に飛来したUFOを発見したらしい。そしてそこからあるものを見つけた。その“あるもの”は既にアメリカ隊の中にも潜んでいた。それは未知の生命体─。
怖ぇッ。以上、感想終了!いやいやいや。いくらなんでも短すぎるだろ。せめてロブ・ボッティンの特殊メイクが凄まじくグロでいかすッとか書けよ。はい、書きマシタ。おわり。…この作品がキライなのかよ。否。大好きですよ。廉価版DVDが発売されたと聞いて極貧なのに一瞬の躊躇もなく購入ボタンをぽちっとなしましたからね。映像特典のメイキングも舐めるように鑑賞しましたからね。では、何故に感想が書けないのか。ミーのボキャブラリーが貧相なせいですわ。もうこれっぽっちもこじゃれた文章が浮かんでこない。ま、どの感想も泥臭いだけの纏まりのない文章ですが。とにかく。頑張って書いてみる。
エイリアンの造型がとんでもなく斬新といいますか。今の特殊メイクの技術やCG技術からすれば、かなりチャチな造型かも知れませんが、公開年を考えれば画期的だと思う。それとタイトル部分の作り方をメイキングで特殊視覚効果担当のおっさんが語ってたんだが、「そんな原始的な方法かよ!」と逆に目からウロコ。想像力って素晴らしい。作品のキモとなるエイリアンのデザインは後年に「ミミック」や「ザ・グリード」のモンスターデザインを手がけることになる当時はまだぺーぺーのロブ・ボッティンが担当しておるワケですが、イイ仕事してます。スンバラシイ。一度見たら悪夢を見そうなほどにインパクト大。有機的でグロなのに愛らしい。愛らしいと感じるミーの感性はおかしいのか。いや、そんなはずはないッ。最初のワンコキシャーッ!のシーンもカニさん状態の例のアレも非常に可愛かったぞ。ついでに血液検査シーンでは驚いたと同時にバカ受けした。ホント、ジョン・カーペンター最高だわ。
南極基地という閉ざされた空間で繰り広げられる、どちらかというと心理描写に重きがおかれた地味なストーリー展開と、同時期に同じエイリアンを扱いながら、まるっきり正反対な内容の「E.T.」が公開されたこともあって公開時にはまったくヒットしなかったようですが、ミーはこちらの作品の方が断然好物ですわ。ジョン・カーペンターの悪趣味ぶりがそこかしこに散りばめられてて嬉しくなっちゃう。おぞましいんだけど、笑っちゃうみたいな。
ところで音楽はエンニオ・モリコーネが担当してるはずなんだが、どう聴いてもジョン・カーペンター風味。実際、DVDで再鑑賞するまでミーは音楽もジョン・カーペンターが担当してると思っておりマシタ。名スコアであるのは間違いないが御大モリコーネっぽくないような。
女性が一人も出てこず、登場人物はムサいおっさんばかりだし、エイリアンとの派手な戦いよりも閉鎖された空間でお互いが疑心暗鬼になっていく心理描写に重点が置かれているので地味といってしまえば、それまでの作品ではある。しかし内面から侵されていく恐怖を描き、グロと笑いとクールさが渾然一体となったジョン・カーペンターらしい作品でお気に入りのSFホラー。
1982年/アメリカ/109分/監督:ジョン・カーペンター
THE THING
2009.08.14記