アバター

観るのではない。そこにいるのだ。もうひとつの体。もうひとつの運命。

22世紀。地球から遠く離れた衛星パンドラで、あるプロジェクトが進行しようとしていた。元海兵隊員のジェイク・サリー(サム・ワーシントン)は戦争により負傷し、今は下半身不随の身であったが、急死した双子の兄に代わり、そのプロジェクトに参加することになる。

そのプロジェクトはアバター・プロジェクトと呼ばれた。地球から遠く離れた衛星パンドラに赴き、パンドラの先住民である“ナヴィ”と人間のDNAを組み合わせた“アバター”を操ることで人間にとって有害なパンドラの大気の問題をクリアし、かつ非常に閉鎖的なナヴィに似せた肉体を得ることで彼らの信頼を得て莫大な利益をもたらす鉱物を採掘するのが目的だった。

ジェイクに課せられた任務とは、ナヴィそっくりに作られたアバターに意識をリンクさせ、ドライバーとなって遠隔操縦し、パンドラでナヴィとの交流を図ること。アバターを介して自由に動ける身体を得たジェイク。彼は降り立ったパンドラの森で神秘的な世界を目の当たりする。今まで見たことのない色とりどりの植物、動物。彼はやがてナヴィのオマティカヤ族の族長の娘であるネイティリ(ゾーイ・サルダナ)に出会うのだが…


キャメロンはやっぱりおセンチ野郎デシタ。そして肩凝った。以上、終わり。早いな、おい。あらすじ500字余りに対して感想は30字以下か。え〜と。最近、年のせいか物覚えが悪くて。ストーリー後半で出てくる非常に重要なキーワードが何回聞いても憶えられなかったりしたもん。ついでに3Dメガネがクソ重くて肩がパンパンに凝ったわ。メガネの上から3DメガネとメガネONメガネでミーの可愛らしいちっちゃなお鼻が重さに潰されそうになりマシタよ。ミーのお鼻が可愛らしいか、ナヴィの鼻なみにひしゃげてるかはともかく。

なんつ〜か。世間で言われてるほどミーはジブリ作品の影は感じなかったなぁ。パンドラに乗り込んできた○○が若干、「ラピュタ」での○○上陸シーンに似てるなぁとは思いましたが。クオリッチ大佐が操るパワードスーツが「マトリックスレボリューション」のミフネ隊長が操るAPUマシンに見えてきたり、「あぁ昔プレイした『フロント・ミッション』を思い出すなぁ」と懐古に走ったり、ところどころに既視感なシーンが見受けられたのは確かですケドね。そしてストーリーははっきりいって目新しさなんて皆無ですが。

映像はイイッ!3Dもイイッ!ネイティリもイイッ!奥行きのある映像に驚嘆ですわ。パンドラという星の美しさにも目を瞠るばかり。初登場時はデカくてひょろ長くて青いナヴィ達が不細工にしか見えなかったんだが、1時間も眺めてると美しく見えてくるから不思議。ネイティリがやたらセクシーに見えるのは錯覚なのか。こぶりなおっぱいさえセクシーに見えてきちゃいますからね。きっとキャメロンは貧乳好きに違いないと思った瞬間。

最初にキャメロンはおセンチ野郎と書きましたが、一応褒め言葉のつもり。ミーは彼のおセンチメンタリズムやロマンチシズム万歳精神がキライじゃないですから。ま、だからといってラストはどうなのよと思うが。そこがキャメロンの愛すべきところでもあるワケですが。

KORO的に美味しい要素としましては、ミーの大好きな女優であるミシェル・ロドリゲスが出演してたコト。役柄があまりにもベタつ〜かキャメロン的なのは言わない約束。ミーもキャメロン同様、強いお姉ちゃんが好きなので文句はない。ベタといえば軍を指揮するクオリッチ大佐のキャラもベタだな。出てきた瞬間、どんな役回りなのかすぐ判りますわ。

ストーリーは正に王道路線。自然豊かなパンドラに眠る資源を巡ってやってきた人間とナヴィの対立。資源を手に入れるためにスパイとしてオマティカヤ族に潜り込んだ主人公が族長の娘と恋に落ちてしまい、人間とナヴィの間で板ばさみになる。変化球なんぞ知らんッ!いついかなる時でも、どストレート勝負!が信条のキャメロンらしいベタなストーリー。ナヴィたちの神である“エイワ”が女神ってのもキャメロンらしいよね。

王道とかベタとか目新しさがないとは言っておりますが、決してそれが弱点にはなっていないのが、この作品の素晴らしいトコロ。久々とはいえ、キャメロンの演出が随所に光っており、決して飽きさせることがない。2時間半超と長尺な作品だけど、中弛みすることなく最後まで一気に観せるのはさすがの一言。

ただ、パンドラの自然やナヴィとの交流に時間を割きすぎて人間側があまり描かれてないのは惜しい点。ジョバンニ・リビシ演じるセルフリッジが属している企業がいまいち曖昧な点とか、クオリッチ大佐の人物像があまりにもステレオタイプな点、ミシェル・ロドリゲスが演じるトゥルーディの中途半端な立ち位置など。せっかくのシガニー・ウィーバーもそれほど活躍しないし。22世紀の地球がどんな状況下にあるのかもさっぱり判らん。ジェイクは戦争での負傷で下半身不随になってるワケだから、争いの絶えない状態ではあると思うんだけど。

色々と削ったシーンが沢山あるとは思うけど、今作でキャメロンが描きたかったのはあくまでもパンドラでの描写だと思うので人間側の描写が希薄な点は些少な問題。正にそこにいるかのような映像、美しきパンドラの世界、生き生きとしたナヴィたちの姿。それらが鑑賞出来ただけで充分に満足な作品。
2009年/アメリカ/162分/監督:ジェームズ・キャメロン
AVATAR
2009.12.29記

「トルーク・マクト」
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