インソムニア

始まりは髪を洗われ爪を切られた17歳の少女の死体。6日間眠れないほどのあまりにも異常な事件

1997年にノルウェーで製作された同名作品(日本未公開)を「メメント」のクリストファー・ノーラン監督がリメイクしたサスペンス・スリラー。

白夜のアラスカ。平和な町で起こった少女殺人事件。捜査の為にロス警察からやってきた刑事が捜査中に誤って相棒を射殺してしまったことから、次第に精神的に追い詰められていく。

アラスカ、ナイトミュート。この時期、24時間太陽が沈まないこの町で17歳の少女の変死体が発見される。応援にやってきたロス警察のウィル・ドーマー(アル・パチーノ)と相棒のハップ(マーティン・ドノヴァン)。ウィルは今までの経験を駆使して、犯人をおびき出す方法を思いつく。彼の思惑通り海辺の小屋に犯人が姿を現わす。しかし、深い霧に紛れ込んだ犯人を見失ったウィルは誤って相棒を射殺してしまう。自分が射殺した事実を地元警察に告白しそびれた彼は白夜も手伝って不眠症(インソムニア)に陥る。不眠が続く中、ウィルのもとに少女殺しの犯人から電話がかかってくる…。


公開時のコピーのせいか怖がりの友達を観に行こうと誘ったら、激しく拒否されマシタ。まぁヨイ。とにかく猟奇的なのね!ワクワクしちゃうわ!と期待して観たケド、それほどでもなかったり。アル・パチーノの演技は素晴らしいですよ。華々しい実績を持ち主ながら今は内部監査に怯え、そして相棒を誤ってとはいえ射殺してしまった苦悩。そこへ犯人からの悪魔のような誘惑。良心の呵責と不眠症に苛まれ、正気を失いそうになるドーマー。素晴らしい。地元アラスカの新米刑事エリーを演じるヒラリー・スワンクもイイです。ちょっと「羊たちの沈黙」のクラリスを彷彿とさせる雰囲気がヨロシイ。雲の上の存在のように感じていたドーマーと共に捜査に当たることに張り切るエリー。しかし徐々にドーマーに疑惑を抱き始め、正義を貫くか、それとも・・・と葛藤する様子をなかなか見事に表現してたと思います。

しかし、ロビン・ウィリアムズはいかん。かなり早い段階で犯人は割れるのでネタバレじゃないと思うんで書きますが(つ〜かキャスト見たら大体予想はつく)、彼がどうにも弱いの。邪悪なカンジが薄い。役柄的に「セブン」のジョン・ドゥと印象がかぶっちゃうせいなのかなぁ。彼に比べて一見、普通のおじさんだけど実は心の奥底に残忍な感情を秘めているっていうのが、ちっとも感じられないのよね。全然魅力的じゃなかった。

映像的にはオープニングの水上飛行機が氷河の上空を滑るように通過していくシーンや繊維(?)に血が染み込んで行くカットなどはかなり好きなんですが、アラスカの白夜というせっかくの舞台があまり生かされてない気がした。全然怖くない。予告編や公開時のコピーの作り方に激しく疑問。この作品はスリラーではなく心理サスペンスですな。

主役がおじさんなんでアクションは一切、期待出来マセン。走ってるシーンなんて観ているこっちが息切れしそうなくらい、しんどそうです。ラストもハァ?っていうくらい普通というか、ありがち。パチーノの存在感とヒラリー・スワンクの演技力でどうにか観られたケド。「メメント」のクリストファー・ノーラン監督だから(リメイクだけど)というのを抜きにしたらまぁ及第点かも。
2002年/アメリカ/119分/監督:クリストファー・ノーラン
INSOMNIA

「パチーノが出演辞退するとその映画は大ヒットするらしい」
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