ハリー・ポッターと炎のゴブレット

「ハリー・ポッター」シリーズ第4作目。100年ぶりに開催されることになった“三大魔法学校対抗試合”の代表選手に4年生ながら選ばれてしまったハリーを襲う試練とは。

夏休み。ロン(ルパート・グリント)の父アーサーからの招待を受けて“クィディッチ・ワールドカップ”の決勝戦を観に行くためにウィーズリー家を訪れていたハリー(ダニエル・ラドクリフ)は奇妙な夢を見た。それはリドルの館に潜むヴォルデモートとワームテールが自分を殺す計画を立てているのを立ち聞きしていた老人がヴォルデモートに殺されてしまうというものだった。同じく招かれていたハーマイオニー(エマ・ワトソン)に揺り起こされ、目覚めるハリー。悪夢に不安が募るハリーだったが、ウィーズリー一家と出かけたクィディッチ・ワールドカップは想像していた以上にエキサイティングで楽しい催しだった。その後に引き起こされる恐ろしい出来事がなければ。死喰い人が現れ、観客たちが逃げ惑う中、打ち上げられる闇の印。ヴォルデモートはやはり復活したのだ。

やがて新学期が始まる。「闇の魔術に対する防衛術」の新任教授には元“闇祓い”のアラスター“マッド・アイ”・ムーディ(ブレンダン・グリーソン)が就任。そしてダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)から100年ぶりとなる“三大魔法学校対抗試合”がホグワーツ主催で行われることが発表される。それは世界の三大魔法学校の各校から1名ずつ選ばれた代表選手が魔法の力を競い合う交流戦。その代表選手は立候補した生徒の中から“炎のゴブレット”が選び出すというのだ。但し、立候補出来るのは17歳以上の生徒。そして代表選手発表の日。ボーバトン校からは美少女フラー・デラクール(クレマンス・ポエジー)、ダームストラング校からはクィディッチのブリガリア代表でもあるビクトール・クラム(スタニスラフ・イアネフスキー)、そしてホグワーツからハッフルパフのセドリック・ディゴリー(ロバート・パティンソン)が選ばれる。しかし炎のゴブレットはもう一人の代表選手を選び出す。14歳で参加資格のないはずのハリー・ポッター。立候補した憶えのないハリーは戸惑うばかり。即座に辞退を申し出るが魔法契約の拘束力によりハリーの辞退は認められない。規定外でありながらも4人目の代表選手となったハリーは多くの生徒から顰蹙を買ってしまうことに。親友のロンさえもハリーを疑うために2人は絶交状態となってしまう。理由も判らぬまま、友の理解も得られぬままハリーは危険な試合に臨むことになる。


原作も読んだし、映画版もしっかり観に行ったのに感想を書くのを忘れてた。映画版の3作目を観た時点で「次からは映画館で観ることもないかなぁ」と思ったワケですがハーマイオニーちゃん萌えのK元くんの要請により観に行きマシタよ。ロリ好きに逆らうとあとが恐いですから。観には行ったが相変わらず内容は駆け足デシタ。鑑賞後、お約束のようにK元くんへの補完説明を余儀なくされマシタ。映画版の4作目では原作にある“屋敷しもべ妖精解放戦線”の件がまるごとばっさり削られているので屋敷しもべ妖精のドビーやウィンキーが一切、登場してこない。なので冒頭のクィディッチ・ワールドカップでウィンキーがハリーの杖を持って失神してるトコやホグワーツに就職したドビーがハリーにあるモノを渡すシーンがない(映画版ではドビーの代わりにネビルがハリーにそれを渡す)。ちょっと残念。

冒頭のクィディッチ・ワールドカップに行くまでの過程や会場に着いてからの経過もサラッと描写しているだけなので、ストーリー後半になって○○○キーが登場しても唐突過ぎて原作を未読の人は「なんじゃこりゃ」気分満載だったと思う。あのシーンは重要なのよ!何故、三大魔法学校対抗試合が100年ぶりに開催されることになったか。クィディッチ・ワールドカップ会場で闇の印が打ち上げられたのか。立候補したはずのないハリーが代表選手に選ばれたのは何故か。○○○○が○○○に協力するのはどうしてなのか。そしてタイトルが「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」なのか。全ての謎を解く鍵が正にあのシーンにあるのですよ!原作はホントにこれが処女作なの?というくらい第1巻目から伏線の嵐で巻の終盤や何巻もあとになって、「あぁ、あの時のアレはこういうことだったのか!」と気付かされるコトが多々あった。見事な構成だなぁと読んでる最中に何度も唸らされマシタよ。そこらへんを汲み取って映画版に生かして欲しかったなぁ。

この作品の原作である4巻目からは上下巻となって今まで以上にボリューミーな内容なので、そりゃ忠実に映像化するのは難しいと思うけど、削りどころを間違えてるよなぁというシーンが多すぎる。ドビーはこれから先のお話でも出番は少ないながら、非常に重要な役どころなのよ。何度もハリーを助けるのよ。ミーは原作の第7巻で号泣したね。「ドビー、アンタ立派だよ!妖精の中の妖精だよぉ!」と。よもや、屋敷しもべ妖精に泣かされるとは思わなんだ。妖精パワ〜恐るべし。

微妙に話が逸れたような気がする。軌道修正。ま、色々文句は言ってますが映画版のヨイところ。フレッドとジョージがカワイイとこデスッ!双子ちゃんをこの目で拝めるコトです!原作ではがっしりした体格でロンより背が低いという設定ですが映画版のフレッドとジョージは長身でスマート。そして抜群にカワイイッ。うひひひ。ミーはフレッドとジョージさえ拝めりゃ文句はないぜ!もっと見せてクレ。アンジェリーナ・ジョンソンでなくてミーをダンス・パーティのパートナーに誘ってクレ!妖女シスターズのロック・ナンバーに乗って踊り狂うぞッ!ついでにフレッドとジョージのどちらか、いや両方とも食…以下自粛。え〜と。ちょっと興奮シマシタ。落ち着けKOROちゃん。

全体的に見るとハリーの入浴シーンとダンス・パーティシーンに時間を割き過ぎて肝心要のハリーとロンの仲直りするシーンやロンとハーマイオニーの友情なのか愛情なのか判然としない曖昧で複雑な関係をサラリとしか描いていないのが誠に遺憾。ハグリッドの出生の秘密あたりもちゃんと描いて欲しかった。いっそダンス・パーティのシーンを削るとか、チョウ・チャンの登場もなかったことにするとか(KORO的に映画版のチョウ・チャンのキャスティングに不満)、中途半端な登場の仕方のリータ・スキーターのシーンをバッサリ削ってでも登場人物の心理描写をキチンと描いて欲しかった。それぞれの胸の内が全くといっていいほど描かれていないから薄っぺらい印象になってしまっている。ラストの描写も納得しかねる。ああいう結果になってしまってハリーがどれだけ悔やんでいるか。自分の未熟さゆえに沢山の人を巻き込んでしまっていることに嘆き苦しんでいる様が全く描かれていない。残念すぎる。

原作もこの作品辺りから急速にダークな色合いになってくるので全体的に暗い印象になってしまうのは致し方ないところ。これから先の映画版では数々の困難、陰謀、中傷、仲間との別れを経て成長していくハリーをしっかり描いて欲しいと切に願いながら次回作に期待。ハリーの本当の試練はこれからなのだから。
2005年/アメリカ/157分/監督:マイク・ニューウェル
HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE
2009.01.03記

「皆、変わってくのね」
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