バルカン超特急

ロンドンへと向かう列車の中で忽然と1人の女性が消えた。ヒッチコックの英国時代の代表作。

東欧の国、バンドリカからイギリスへと向かう列車の中で親しくなったミス・フロイ(メイ・ウィッティ)とアメリカの富豪の娘アイリス(マーガレット・ロックウッド)。乗車前に頭を強く打ってしまったアイリスは車中で気分が悪くなり眠ってしまう。目を覚ました時には向かいに座っていたミス・フロイの姿がない。まわりの人間に尋ねても、誰もがそんな女性は最初から乗っていなかったと言う。会話したはずの乗客も皆が口を揃えて、ミス・フロイなど知らないと言い出す始末。納得のいかないアイリスはギルバート(マイケル・レッドグレーヴ)という青年の協力を得てミス・フロイの捜索をはじめる。やがて現れるミス・フロイ。だが服装や持ち物は同じだったが、アイリスの知っているミス・フロイとは全くの別人。

一体、列車内ではなにが起こっているのか?やがて事態は急展開につぐ急展開を迎えることに。


1930年代の作品。サスペンス映画だけど、どこかお気楽ムード。そしてドタバタ劇。まず東欧の架空独裁国家バンドリカでの一夜が正にドタバタ。小さな宿に列車が雪で不通となったことで押し寄せる客。部屋がないからメイド部屋へどうぞって。お客がいっぱい来たから、もう何もないですよというレストランって。夜中に騒音を出すからと部屋を追い出された男が苦情を言った若い娘の部屋に無断闖入するなんて。部屋に鍵かけろ。そしてムリヤリ、メイド部屋に泊まったロンドンへの帰りを急ぐ2人の男たちの妙なやりとり。なんなんなんだ。ミーはサスペンスフルな展開を求めてたのに、このドタバタぶりはなんですか?オモロだけど。特に2人組のおっさんがオモロ。最初から最後までニヤニヤさせてくれた。

ミス・フロイが消えた謎自体はそんなに謎が謎を呼ぶ展開ではなかったけど、ヒッチコックならではのサスペンスとロマンスとユーモアの見事なブレンドが楽しめた。小道具の印象的な使い方も。この頃から眼鏡は苦手なんだ。序盤はアイリスもギルバートもあんまり好い印象を抱けなかったんだけど(アイリスはアメリカ成金娘の典型、ギルバートは自己中心的)、ミス・フロイが消えて2人で捜索をはじめたあたりからは微笑ましいカンジになってきたから不思議。ミーも意外といがみ合ってた男女が次第に惹かれ合い…みたいなロマンスの王道パターンが好きだったのか?

あ、ギルバートが個室に閉じ込められて脱出するシーン。…「シベ超」で大尉の人が隣の部屋に行くシーンを思い出した。もしかして「シベ超」のあの無意味なアクションシーンはこの作品のパクリ、オマージュなのか?…このバカチンがぁ!ドア蹴破ればいいのに、なんでわざわざ無謀行為をと思ってたけど、この作品もパクって、オマージュしてたのか!もう一度言うけど、このバカチンがぁ!マイク水野とヒッチコックの共通点は体型だけ!以上!

あ、毎度のことだが脱線した。しかも激昂した。反省。しかし良作「バルカン超特急」のDVDが500円で買えて、カス映画「シベ超」(正式名称書くのさえメンドイくらいカス作品)のDVDが数千円する世の中って、どうなんでしょうねぇ。

ややプロパガンダ臭が感じられたケド、ロマンスあり、アクションありで楽しめた。そしてマクガフィン。
1938年/イギリス/98分/監督:アルフレッド・ヒッチコック
THE LADY VANISHES
2008.03.31記

「イギリス人はお茶の時間はちゃんと守る」
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