羊たちの沈黙

FBIの若き女性訓練生が、精神病院に監禁中の天才精神科医の示唆を受け、連続誘拐殺人事件の解明に挑むサイコ・スリラー。

FBIアカデミーの訓練生クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)は、若い女性の皮を剥ぎ、死体を川に捨てる連続殺人犯バッファロー・ビルの捜査に行き詰りを感じたFBIの主任捜査官ジャック・クロフォード(スコット・グレン)の指示を受け、州立の精神病院を訪れる。そこに隔離される天才精神科医ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)に、バッファロー・ビルの心理を読み解いてもらい捜査のヒントを得るために。初めは患者9人を殺害した上に食べた罪で捕えられ、隔離されているレクターに不気味さを感じ、たじろぐクラリス。しかし不気味さと同時に類まれな頭脳と洞察力を合わせ持ったレクター博士の自分への相手の興味を利用して我が身の過去を語ることを条件に、事件捜査の手掛かりを博士から少しずつではあるが、引き出せるようになる。

そんな中、上院議員の愛娘キャサリン(ブルック・スミス)がバッファロー・ビルと思われる者に誘拐される事件が起きる。レクター博士の難解なヒントを読み解きながら、クラリスはバッファロー・ビルの素顔に近づいていく。


やはりクラリス・スターリング=ジョディ・フォスターですなぁ。可憐さ、頭のよさ、向上心、未成熟な部分とを合わせ持ったクラリス像にぴったり。アンソニー・ホプキンスもほどよい体型でレクター博士役がホントにハマってます。「ハンニバル」、「レッド・ドラゴン」ではでっぷりした上にハゲ度が増していたので、ちょっぴり残念。不気味さよりエロオヤジ度の方が増してたような。この作品では、そこはかとなくエロティックなのに、あとの2作品では寒イボ級にレクターがエロオヤジ化。チルトン医師や警察の一瞬の隙をつき、レクターから事件を解くヒントとなる資料を受け取るクラリス。そんなクラリスの指をスッと撫でるレクター。上質なエロですなぁ。デモ、「ハンニバル」でレクターがクラリスの髪を撫でるシーンに香気を放つエロは感じられなかったワ。

ストーリー的には訓練生がいくら精神病院に隔離されているとはいえ、凶悪かつ狡猾な犯罪者の下へ単身で行くか?と思ったり。クライマックスも極度に緊張してるかもしれんが、その行為は退路を断ってるとしか思えませんが?というシーンがあったり。デモ、そんなコトは些少な問題デス。あ、バッファロー・ビル像があまり描かれてないのも、ちょっと疑問といえば疑問。彼がそういう犯罪に駆り立てられた背景とか、彼の日常生活とか全くといっていいほど描かれてないので、3人目の主役だと思うのに非常に影が薄い。唯一、印象に残ってるのは彼がクネクネしながら○○○をお股に挟んで踊ってるトコだけデス。なんだか「ポリス・アカデミー」の暴走族上がりの兄ちゃんを思い出した。

レクター博士とクラリスが交わす会話。高尚でしかもテンションの高い言葉のやり取りの方に興味がいってしまい、本筋の女性の皮を剥ぐという、なんとも猟奇的な事件の衝撃度が霞んでしまってるのが少々、残念。いっそ、犯人なんて最後まで登場しなきゃいいのにとか思った。クライマックスのバッファロー・ビルVSクラリスの対決よりもレクター博士の○○シーンの方が数倍、緊張感に溢れてたし。

大掛かりな仕掛けや派手な見せ場もないけれど、主役2人の緊迫する演技が素晴らしく、何度観ても会話の質の高さに酔ってしまう作品デス。
1990年/アメリカ/118分/監督:ジョナサン・デミ
THE SILENCE OF THE LAMBS

「ジョージ・A・ロメロとロジャー・コーマンがチョイ役で出演」
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