恐怖のメロディ

クリント・イーストウッド初監督作品。ラジオ局に人気DJデイブに夜毎かかってくる「ミスティ」のリクエスト。やがてそのメロウな旋律は恐怖のメロディとなる。

モントレーの地方局の人気DJデイブ(クリント・イーストウッド)の番組に夜毎、「ミスティ」のリクエストをする女がいた。ある晩デイブはリクエストの主イブリン(ジェシカ・ウォルター)とバーで出会い、一夜限りの約束でベッドを共にする。しかしイブリンは翌日から恋人気取りでデイブの家に押しかけてくる始末。数日後、街から離れていたデイブの恋人トビー(ドナ・ミルズ)が戻ってきた。遊び人のデイブだがトビーへの気持ちは真剣でなんとかやり直したいと考えていた。しかしイブリンはデイブに執拗につきまとい、次第に異常な行動を取り始める。


コワ〜。イブリン、マジでコワ〜ッ。横顔がなんとなくオドレイ・トトゥに似てますが、それがさらに恐怖心を煽る。あどけなさに見え隠れする狂気とでもいいますか。笑顔から一転、口汚く罵るイブリンの怖さったら、アナタ!チビり度120%。もうどつき倒しますから。叫ぶなんて言葉が生やさしく感じられますから。ミーの地元では大声を出すことを「おらぶ」というのですが、イブリンの吼えっぷりはまさに「おらぶ」。ベスト・オラビニスト。あ、ワースト・オラビニストか?どっちにしろ、そんな言葉はないですが。しかしオラビニストの称号を与えたいくらいにおらびまくります。もうイブリンの鬱陶しいこと、怖いこと。どう説明しても理解しないし、すぐキレるし。デイブも中途半端に優しいから悪いんだけど、イブリンを徹底的に悪く見せる演出が見事なので、ついデイブを可哀想とか思ったり。

しかしイーストウッド上手いなぁ。これが初監督作品ですか?スゲェ。1971年作品にしてストーカーが題材。原作アリの作品ですが目のつけどころといい、見せ方といい、初監督作とは思えません。ザクッザクッザクッ。どこからか聞こえる不気味な音。その正体は…?んぎゃぁぁぁ〜ッ!ホラー不感症のミーですが、このシーンは少々ビビりました。きっとイーストウッドはホラーもの撮っても素晴らしい作品を作るに違いない。それとデイブとトビーが再会して愛を確かめ合うシーンの美しいこと。サスペンスな演出も上手いがムーディなシーンも雰囲気作り満点。素晴らしい。

伏線を張っていながら、○○が○○○となっているのを気づかせないのも上手い。緊張感溢れる展開と、常に流れるメロウなジャズの選曲が恐怖感を煽るサスペンス・スリラーの逸品です。
1971年/アメリカ/108分/監督:クリント・イーストウッド
PLAY MISTY FOR ME
2008.01.09記

「試写を観たJ・カサヴェテス。“ヒッチコックのクレジットがあったら、もっとヒットすると思うよ”」
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