崖の上のポニョ

生まれてきてよかった。

宮ア駿監督がCGを廃し、手描きアニメーションで表現することに拘った4年ぶりの新作。

海辺の小さな町の崖の上の一軒家に住む宗介は5歳。彼はある日、クラゲに乗って家出したさかなの子・ポニョと出会う。頭をジャムの瓶に突っ込んで苦しんでいるところを宗介に助けてもらい、たちまち宗介のことが好きになるポニョ。宗介もふっくらまんまるとしたポニョが大好きになる。「ぼくが守ってあげるからね」とポニョに約束する宗介。

しかし、人間であることを捨て今は海の住人となった父・フジモトによって、ポニョは海へと連れ戻されてしまう。宗介に会いたい!人間になりたい!ポニョは妹たちの力を借りてフジモトが蓄えてきた魔法を盗み出し、再び宗介のいる人間の世界を目指す。だがそれは人間界にとっては危険な力が撒き散らされたことでもあった…


え〜、この作品はレイトショーで観たのだが。21時5分に始まる回で観たのだが。…何故かおこちゃま連れのファミリーが満載でしたヨ!どうなっとるんだ。上映が終わるのは22時55分だぞ。福岡県青少年健全育成条例では「高校生を含む18歳未満の者は、上映終了時刻が23時以降になる回への入場禁止」となってるんだったか?よく憶えてないけど。確かに23時以降じゃないよ。ギリで23時前だよ。しかし!どう考えても未就学児がこの時間に映画館に来るのは間違っとる!最近の親はナニ考えとるんだ!と思うミーは古い人間ですか?とりあえずチビッ子には近づくまい。実は指定された席が列の右寄りだったので上映がはじまっても席が空いてたら真ん中に行っちゃう?とK元くんと相談してたのだが、真ん中の席の前と後ろがおこちゃま連れ。速攻で移動作戦、撤廃。なんか観始める前から萎えるなぁと思いつつ、鑑賞。

まぁKOROの憤りはおいといて。一切のCGを廃して描かれた手描きによるアニメーション。懐かしい香りですなぁ。彩色はデジタルらしいけど。ミーはムチャクチャ拘りがあるタイプではないのでCGだろうがなんだろうが楽しめれば無問題なんで、今度のジブリは手描きだよ!と言われても「あぁ、そうですか」くらいの反応だったり。要は作品世界に入り込めるか、どうかなので。そういう点では今回の作品はテンポがいいこともあり、危惧していたほどには期待外れではなかったと思う。なんにも考えないで観れば、という話ですが。

フジモトは何故、人間をやめたのか。どういう方法で海に生きる術を得たのか。ポニョという名前は宗介が名づけた名でホントの名前は違うのに、あっさりそんなことは忘れてフジモトは「ポニョ」と呼ぶのか。フジモトはポニョの味方なのか敵なのか。フジモトが蓄えてきた魔法は世界を○○○力を持っていたんじゃないのか。一旦、○○○○することが目的だったと思うのに、物語終盤ではそんなことを忘れたかのような展開に。トンネルをポニョが怖がるのは何故なのか。そして宗介に課せられた最後の試練はなんだったのか。他にも疑問はいっぱい。宗介が母親と父親を呼び捨てにするのは何故なのか?とか。ミーは宗介が両親をリサ、耕一と呼び捨てするのを聞いて、てっきりこの家族はうまくいってないのかとイラン心配しましたよ。それとグランマンマーレ。顔が怖いよ。まぁこれは謎でもなんでもないワケですが。もうちょっと観音様らしい容貌を希望。声優に関してはスルーで。脳内補完で頑張るしかない。宗介とポニョ、ポニョの妹軍団はヨカッタよ。

作品を観ながら、色んな疑問が駆け巡ったのだがポニョが登場する度に「ぽにょ〜」とスクリーンに向かって呼びかけるおこちゃまの声に邪魔されて思考が中断。ったく。昼間に来いッ。あら、別にKOROちゃん子ども嫌いじゃないですよ?宗介みたいに賢くて礼儀正しいおこちゃまなら大好きですわよ?まぁそんな子どもはまずおらんケドなッ。

この作品でなんの疑問もなく楽しめたシーンはリサが愛車を駆って波乗りする○○○と爆走カーチェイスするシーンだけかも。「カリオストロ」や「未来少年コナン」を彷彿とさせるシーンが一番楽しかったというのがなんとも皮肉というか。

まぁなんだ。この作品にはストーリーはないんだと思う。ただポニョは宗介が大好きで宗介もポニョが大好き。それだけなんですよ。宮ア駿監督が伝えたかったのはホントにそれだけなんですよ。海がゴミだらけで汚染されていようが世界が終わろうが知ったこっちゃない。ポニョは宗介が大好きなんだも〜ん、それでいいんだも〜んみたいな。

公式サイトで鈴木プロデューサーも書いてたけど宮ア監督はこの作品を作りながら今は亡き母親のことを考えていた。だからトンネルを抜けた宗介がまず出会ったのはリサではなく○○さんだったんじゃないのかと思った。宗介がリサのことをママともお母さんとも呼ばず呼び捨てなのは宗介が宮ア監督自身でそして母親とみなしているのは○○さん。だから、あのシークエンスがあったんじゃないのかなぁと思ったワケですが。考えすぎか?え、ということは宮ア監督は…以下自粛。

ラストはハッピー・エンドなんだと思うけど、荒みきった精神のKOROにしてみれば「5歳児で人生決めてどうする」と行く末の不幸を憂えたり。いや、そんなことはない!ラヴ・イズ・フォーエバー!…だと思いたい。とにかく。深く考えると色んな謎が一切、解かれないままで終わるので何故の嵐が飛び交う作品ですが単純に愛と勇気の物語と考えればよいのかなぁと思ったり。

しかし。公開当初におこちゃま受けが良くないとガッカリしてた宮ア監督ですが。アナタ、この作品を観てこの夏、金魚を水道水にぶちこむ暴挙に出る5歳児が急増するかもしれないということを想像しなかったのかと強く訴えたい。しかもポニョは見た目は金魚でも海の生き物だろ。なんだかなぁ。
2008年/日本/101分/監督:宮ア駿
崖の上のポニョ
2008.08.09記

「半○人ってNGなんじゃないの?」
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