ニキータ

泣き虫の殺し屋、ニキータ

政府の秘密工作員に仕立てられた不良少女を描いたアクション映画。

深夜のパリ。金欲しさにドラッグストアに押し入ったジャンキーの少年達だったが駆けつけた警官隊と銃撃戦を繰り広げることになる。警官隊の銃弾でみな倒れたかに見えたが一人生き残った少女が警官を射殺してしまう。少女の名前はニキータ(アンヌ・パリロー)。捕らえられ、終身刑を宣告されるニキータ。しかし彼女が目を覚ますとそこは殺風景なベッドルームだった。政府の秘密警察だと名乗る男ボブ(チェッキー・カリョ)が現われ、彼女に告げる。過去を抹消し、国家機密機関の暗殺者として生きるか、それとも死ぬかと。生きることを選んだ彼女は猛特訓の末、プロの殺し屋に成長。しかし恋人との幸せな日々を望むニキータは、自分が殺し屋だということを恋人に伝えられず…


監督であるリュック・ベッソンが自らの作品は「ニキータ」以前と「ニキータ」以後に分けられると語っているように彼にとってターニング・ポイントである当作品。KORO的にはこの作品以降のリュック・ベッソンはどうしちゃったの感が強い。「レオン」はキライじゃないが、結局は「グロリア」の翻案だしな。なんつ〜か街を漂っていくような浮遊感というかその世界を泳いでいるようななんともいえない感覚がないんだよなぁ。傑作おバカSF作品「フィフス・エレメント」は違った次元で大好きですが。夢見る永遠の映画少年に迂闊に大金を持たしちゃいかんという意味で。あぁ、いかん。話が逸れた。ニキータの感想だ。軌道修正。

非情に徹しきれないニキータの姿に涙しますなぁ。ちょっと少女に見えないのがかなり難点ですが。ニキータ役のアンヌ・パリローは当時30歳。アンタ、26歳で17歳の高校生を演じきったシシー・スペイセクじゃねぇんだから。まぁベッソンの主演女優に対する並々ならぬ愛情というのが全編に迸ってて序盤の小汚い不良少女時代はともかく、暗殺者となったニキータはそれは見事に綺麗に映ってたな。アンヌ・パリロー自身も中性的なイメージから知性を身につけ、恋を知った中盤からは見事に女性に成長したニキータをストイックな演技ぶりで見事に表現しておりました。

この作品は断片的なシーンが妙に印象に残る映画。ニキータの強さと精神的なもろさが表れてるシーンとでもいったらいいんでしょうか。初めての殺しの後、雨の中を走るニキータ。彼との電話で幸せそうな表情を浮かべるニキータ。そして殺しの指令を受けたニキータの目に宿る凶暴さとか。全体的なストーリー展開ははっきりいって、あんまり覚えちゃいないんだが、そういったシーンのひとつひとつが妙に残る作品。

キレイで迫力あるおばさんも好きなKOROとしてはジャンヌ・モローの存在感を語らずにはいられない。ニキータを美しい諜報員に仕立てるべく、レッスンするシーンに興奮。ニキータよりもアナタの生き様を見せてください!とか思っちゃいマシタよ。あ、後にイメージを膨らませて「レオン」として映画化された掃除屋役のジャン・レノの印象が何故かすっぱり欠落してるのは何故だ?どっちかというとチェッキー・カリョの方が印象深いかも。

ラストはあまりに唐突で「え?」ってカンジだったような。やっぱりおフランス映画だから?
1990年/フランス/117分/監督:リュック・ベッソン
NIKITA

「ルージュをひくのよ」
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