スペル

何故?どうしたら?解けなければ、死。

きっかけはほんの些細な不親切、逆恨みで言い渡された「禁句(スペル)」。地獄の3日間が始まる─。

銀行の窓口で融資を担当するクリスティン・ブラウン(アリソン・ローマン)は同僚でライバルのスチュ(レジー・リー)と昇進を争っていた。支店長のジャックス(デヴィッド・ペイマー)に有能さをアピールする必要に迫られていた彼女は、ローン支払いの延期を申し出に訪れたガーナッシュ(ローナ・レイヴァー)と名乗る老婆の哀願を心ならずも断ってしまう。

その夜、仕事を終えて駐車場に向かったクリスティンが車に乗り込もうとすると、さきほどの老婆が襲い掛かってきた。敵意をむき出しにして死に物狂いで襲い掛かる老婆に必死の抵抗をするクリスティンだったが、老婆の攻撃は執拗に続く。どうにか車外に老婆を追い出しすことに成功するが、老婆は奇怪な行動に出た。彼女のコートからボタンを引きちぎり、聞き慣れない呪文のような言葉を呟いた。「ラミア…」と─。

「次はオマエが私に請いに来るんだ」という言葉と共にひきちぎったボタンをクリスティンに返し、老婆は去っていく。

悪夢のような出来事に狼狽が隠せないクリスティン。だが、それは彼女を襲う怖ろしい出来事のほんの幕開けでしかなかった─


サム・ライミが帰ってきたッ。シンプルな展開、古典的な恐怖の演出が続く中、時折りお笑い精神満載な演出も織り交ぜるトコなんて、サム・ライム節全開ですよ。「スパイダーマン」というビッグ・バジェット作品の監督を務めたあとでも、こんな作品を作っちゃうサム・ライミに感服ですよ。

ミーはホラー不感症なんで、「ほらくるぞ、くるぞ、キターーーーーッ」なベタな演出のびっくりシーンでも「ひぃぃッ」と怯えず、「ギャハハハ〜ッ」と大受けする性質なんですが、一緒に観に行った3名のうち2名は心底怯えておりマシタ。他1名はミーと同じく爆笑の連続。久しぶりに映画観て大笑いしたわ。鼻血ブ〜〜〜ッのシーンなんてジュースとか飲んでる最中だったら、確実にジュースブ〜〜〜ッでしたわ。

サム・ライミらしくグロいシーンも多々あるけど、彼のグロいシーンって大抵は悪の側であって人間がグロな死に方するとかの直接描写はないような気がする。だからホラーであっても楽しめるのかな。あ、単にミーの感性がおかしいだけなのか。ミーの逝っちゃった感性はともかく。

ストーリーに関してはホントに全く捻りなんてありマセン。チープとも言えるストーリーを畳み掛けるような展開で一気に観せる手腕はサム・ライミならではということか。

脚本や小物の使い方も巧いが、なんといっても主役のアリソン・ローマンがいい。彼女の微妙さ加減に妙に親近感が湧いて感情移入してしまう。微妙に可愛いような微妙に不細工なような。微妙におしゃれさんなような微妙に貧乏臭いファッションなような。とにかく一生懸命頑張ってる女の子っていう面をすごく上手く表現してたと思う。だから自然と感情移入して彼女が味わう恐怖の出来事を観客も共有してしまう。一緒に観に行った女の子はものの見事にクリスティンの心情とシンクロしてたらしく、クライマックスでクリスティンが○を○るシーンでは、ミーの腕にしがみついてた手にものすごく力がこもってマシタよ。クリスティンと共に○を○ってた模様。ガンバレ。

ちょっと頼りない恋人役のジャスティン・ロングもなかなかイイ味だしてた。最後はエラく可哀相なコトになってマシタけど。ありゃ一生トラウマもんだ。彼の母親役のおばちゃんがシガニー・ウィーバーにしか見えなかったのはどうでもいいですな。

笑えるほどに恐怖と申しますか、あまりの恐怖度合いに笑えると申しますか、とにかくホラーが苦手な人にも是非、観ていただきたい作品。みなさん、婆さまに不親切はいけませんよ。呪われます。
2009年/アメリカ/99分/監督:サム・ライミ
DRAG ME TO HELL
2009.12.06記

「ミス・ポーク・クィーン」
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