サロゲート

ロボットがすべてを代行する社会。それは、ユートピアのはずだった…。

ロボット工学の発達により、人間の脳神経細胞をスキャンして自分の分身である身代わりロボット“サロゲート”を自由に操作することが可能になった近未来。

人類の98%が日常生活にサロゲートを使用し、犯罪、伝染病、人種差別は激減。人類の抱える難問は解決したかに見えた。しかし、ある夜、男女2人のサロゲートが破壊され、持ち主の人間も死亡するという事件が発生する。たとえサロゲートが破損するような事故に遭っても安全装置が機能し、持ち主の人間に危害が及ぶようなことはないはずなのに─。

捜査にあたるFBI捜査官のトム・グリアー(ブルース・ウィリス)とジェニファー・ピータース(ラダ・ミッチェル)もまたサロゲートの使用者だった。

翌朝、サンディエゴ大学の学生寮でもサロゲートを操作するステイムチェアーの上で死亡している大学生が発見される。持ち主たちの死体の脳は液状化しており、サロゲートの破壊が持ち主の死の原因だと知るグリアー。やがて大学で死亡した学生がサロゲートの生みの親であるキャンター博士(ジェームズ・クロムウェル)の息子であることが判明。サロゲートの最大手メーカーであるVSI社創立の中心人物でありながら、経営陣と対立し、今は隠遁生活を送るキャンター博士への面会を求めるグリアーだったが─


フサフサした毛髪事情のブルース・ウィリスを拝みたくて観に行ってみました。誰もが理想の顔、理想のプロポーションを求めており、美男美女のサロゲートがわんさか街中を闊歩しておるワケですが。我らがブルースは髪の毛がフサフサなだけで満足なようです。…志が低いな。いや、それとも俺は髪の毛さえあればイケメンだと思っているのか?とんだ勘違いおやじだな←失礼

ブルースの妻役はロザムンド・パイク。「リバティーン」も「プライドと偏見」も観てないのでKORO的には「007/ダイ・アナザー・デイ」以来。すっかり消えたと思ってたら地道に頑張ってた模様。あまり好みの女優ではないが、ロボット然とした表情が非常に作品の雰囲気にマッチしておりマシタ。きょとんとした表情なんか、全然血が通ってなさそうで、まんまサロゲート。ラダ・ミッチェルも上司役の黒人のおっさんもことごとく「毛穴なんかありませんよぉ」なお肌事情でしたが、あれはメイクなのか?

フサフサした金髪が猛烈に浮いておったブルース・ウィリスですが、けっこう序盤で素に戻るんでイケてるハゲのブルースがヨイという方もご心配なく。ついでにしっかり「引きこもり反対!」とばかりに大暴れしてくれますヨ。けっこうヨレヨレですけどね。

犯罪や事故、伝染病、差別、コンプレックス。諸々の日常の危機を回避したいという願いからサロゲートを遠隔操作して、全ての社会生活を代行させる人類。それはある意味、理想世界。人類総ひきこもり社会。

そんな理想のひきこもり社会を支える肝心のサロゲートシステムですが、欠陥が多すぎるぞ。トイレに行きたい時は一時停止させるのか?子作りはどうするッ!大体サロゲート同士でいちゃいちゃして快感は得られるのかッ!フィードバック機能はオプションでございます♪とか?それと○○○が○○されてるのも謎。フツー、○○させるだろ。そういや、子どもサロゲートが一切登場しなかった気がする。

ミーはブルース・ウィリスが拝めれば無問題なんで、サロゲートシステムがへっぽこだろうが、気になりませんが。ただ、おバカな内容なのに謎解き部分がやや複雑なので、うっかりしてると後半部分は話しについていけなくなる。全体的に人物設定や相関関係が雑なせいもあるかもしれない。

人類の98%が日常生活にサロゲートを使用している近未来とテーマは壮大だし、ハリウッド作品らしい大金を投じた映像はド迫力だが、観終わったあとにこぢんまりした印象しか残らなかったのは残念。グリアーの最大の関心事が事件の謎を解くことよりも○の○を○たいってことだけですからね。ヤツのおセンチ魂のおかげで世界はスゴイことになっちゃうワケですが。

製作費8,000万ドルと大金を投じたワリには作品全体からB級臭さがぷんぷんするのは設定や演出が雑だったからかなぁ。「科学の進歩は人々を幸せにするのか?」みたいな疑問を提示しても掘り下げ方が浅かったのもあるかもしれない。しかし、冷めた表情のロボットたちが日常生活を代行する世界で血と汗と涙を流して暑苦しく戦うブルースの姿はベタではあるが、やはり味がある。愛すべきB級作品。
2009年/アメリカ/89分/監督:ジョナサン・モストウ
SURROGATES
2010.02.01記

「またも、なっちの謎字幕が」
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