デッドゾーン

スティーヴン・キングの小説「デッド・ゾーン」をデヴィッド・クローネンバーグが映画化した哀しき超能力の物語。

高校教師のジョニー・スミス(クリストファー・ウォーケン)は同僚で恋人のサラ(ブルック・アダムス)とのデートの帰り道に交通事故に遭遇し、昏睡状態に陥る。ウィザック院長(ハーバート・ロム)の治療の下、ジョニーは昏睡から目覚めるが大きな事故に遭ったにも関わらず包帯や大きな傷はなかった。実はジョニーは5年もの間、意識を失っていたのだ。結婚を誓ったサラが既に他の男性と結婚していると両親から聞かされ、愕然とするジョニー。

事故による影響はそれだけではなかった。ジョニーには他人の過去の秘密、そして未来の姿を相手の身体や物に触れることによって知覚する能力が備わっていたのだ。突然手に入れてしまった超能力。その能力のおかげである少女を火事の現場から救い出すことに成功するが、周囲の人間が寄せる奇異の眼が彼を悩ませる。バナマン保安官(トム・スケリット)の依頼により連続殺人犯の捜査に渋々ながら協力するジョニーだったが、彼の苦悩は高まるばかり。やがてジョニーは上院議員候補のグレッグ・スティルソン(マーティン・シーン)と出会うが、ジョニーがスティルソンから得たビジョンはあまりに怖ろしいものだった…


長年観たかった作品。貧乏なのでお高い値段設定のDVDが買えずにいたワケですが。とうとう巡り合えましたよ!何気なく立ち寄ったブッ○オフに平然と1,250円というお手頃価格で陳列されておりマシタよ!ブッ○オフの有り得ない値段設定にバンザイッ。そんなワケで張り切って購入。自宅に帰って早速、鑑賞。約100分後。涙で前が見えません。哀しすぎる。超能力を得てしまった男の苦悩を静かにそして哀しく描いた当作品。涙なくして観れマセンッ。クリストファー・ウォーケンの憂いを秘めた澄んだ青い瞳がこれまた泣ける。

彼の繊細な雰囲気がこの作品の寒々とした空気感と見事に合っております。ま、ストーリー序盤の変なぼっちゃん刈りヘアスタイルは微妙に受け付けないが、いきなりクリストファー・ウォーケンの口から「スリーピー・ホロウを読んでおいで」という台詞が出るのにニヤリと致しました。しかしジョニーってもしかして○貞じゃねぇのか?サラとのデートの別れ際の台詞で何故かそう思ってしまったミーは下世話精神満載でしょうか。坊ちゃん刈りとか童○疑惑とははどうでもいいのよッ。

アメリカ北東部のニューイングランド地方が主な舞台。そして季節は冬。それが主人公ジョニーの心情と重なり合っててイイ。寒々とした町。超能力を得たことで人々の注目を浴びながらも、どこまでも孤独なジョニー。愛したサラは自分を見捨てて今や人妻。ミーはこのサラって女の行動に非常に憤慨致しました。いや、5年間も回復の見込みのない男を待ってろとは言わないよ。アンタにはアンタの人生があるしな。だけど他の男との間に出来た子供を連れてジョニーに会いに来るとはどういうことか。ミーはてっきりサラは夫を捨ててジョニーの元へとやってきたのかとオモタよ。「また会える?」とまるで少年のように怯えと期待の入り混じった表情でサラに尋ねるジョニーの姿に号泣致しましたよ。

ニセモノの幸せを与えるな。「行かないで」と訴えるジョニーを観てワンワン泣いてしもうたわ。ジョニーを弄ぶような真似をして非常に怪しからんッ。このおっぱいベロ出し奇声女め!←それは「SF/ボディ・スナッチャー」だろ。

いかん。いつものように脱線した上に激昂した。抑えろKOROちゃん。割と初期のクローネンバーグ作品としては「ザ・フライ」と同じく大衆向けといいますか、ワケ判らん路線ではないので観易い仕上がりとなっております。ハサミで○○するシーンはさすがにグロいけどな。原作は未読なのでエラそうなことは言えないが、数あるスティーヴン・キングのホラー系原作映画化作品の中でも原作の持つ魅力を伝えることに成功した数少ない作品なのではないかと。ミーは間違いなくこの作品が一番好きだ。

一応ジャンルとしてはホラーとなってるが、どちらかというとSFサスペンス色が強いのでホラーが苦手な人でも問題なく鑑賞出来る。ある日突然備わってしまった超能力によって人生を狂わせていく一人の男の物語。事故で仕事を恋人を5年間の人生を棒に振り、代わりに得たのは超能力と人々の奇異の目と不自由な身体。終始、足を引き摺って歩くジョニーの姿が痛々しい。

主人公を演じたクリストファー・ウォーケンの繊細な演技がジョニーの孤独感を見事に表現してて、この作品の物悲しさに大いに貢献していると思うが、物語終盤の鍵を握るバリバリのタカ派であるスティルソンを実際はハリウッド一のリベラル派と呼ばれるマーティン・シーンが演じているのもひとつの見所ではないかと。このスティルソンって男がホントにイヤなヤローです。武闘派秘書のソニーも負けず劣らずイヤなヤロー。この○モカップルがッ←勝手な憶測。

ラストはやや駆け足過ぎる展開でそんなに急を要することもないだろうと思ったが、いざ○○○になっちゃったら容易に近づくことも出来ませんしね。それと映画でははっきりとは語られてなかったがジョニーは自分の○○がそれほど長くないと感じていたんじゃないかなぁ。

一人の男の哀しい運命を淡々と描いた当作品はクローネンバーグが無駄な部分を一切排しながらも丁寧な演出を細部に施し、単なるホラー作品で終わっていない。スティーヴン・キング原作の映画化作品としても非常に完成度の高い秀作。ラストショットのジョニーの笑顔が心に刺さる。
1983年/アメリカ/103分/監督:デヴィッド・クローネンバーグ
THE DEAD ZONE
2009.05.04記

「神から授かった?神は僕をオモチャにしたのさ」
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