ダイヤルMを廻せ!

ブロードウェイで大ヒットしたフレデリック・ノットの舞台劇を脚色した、ヒッチコック・ミステリー。

妻マーゴ(グレース・ケリー)の不倫を知ったトニー(レイ・ミランド)は、彼女の殺害を決意。自分はマーゴの不倫相手マーク(ロバート・カミングス)とパーティへ出かけ、その間に旧友の悪党レズゲート(アンソニー・ドーソン)に妻を殺させようと計画。しかし計画は失敗する。襲われたマーゴが逆襲に転じ、レズゲートをハサミで刺し殺してしまったのだ。思わぬ展開に焦るトニー。急遽マーゴが不倫をネタに脅迫されており、そのためにレズゲートを殺したというシナリオに変更するが…


元々が舞台劇だけに、舞台のほとんどがアパートの中です。しかし、その造りを巧みに利用した構成は実に見事で、鍵や電話といった小道具の使い方もさすが。マーゴが背後から襲ってきた殺し屋と格闘するのをトニーが電話越しに聞き耳を立てているシーンはホントにゾクゾクします。身を守るためにマーゴが必死の思いで掴んだハサミがキラリと光るシーン。思わずビクッとなるほどの怖さ。やはりヒッチコック、ツボをおさえた名人芸でございます。クールビューティ、グレース・ケリーが恐怖におののきながらも懸命に抵抗するシーンに戦慄しつつも大興奮デス。KOROちゃん、クール・ビューティが大好物ですから。

序盤ではマーゴの衣装はどれも鮮やかな色彩なのに、どんどん彼女に不利な材料が揃い絶望的な状況になるにつれて衣装まで地味な色合いになっていくのが効果的でした。「あぁ、彼女は今とっても絶望してるんだわ!孤立無援で五里霧中で青息吐息なんだわ!」と視覚的にも納得出来てしまうカンジ。ミーが単純なだけなのか?

キレイなお姉さん好きなのでグレース・ケリーのコトばかり書いてしまったわ。夫役のレイ・ミランドもなかなかでしたヨ。大真面目な悪人ってカンジで←投げやり。それと事件の“鍵”を見つける警部役のジョン・ウィリアムズの飄々とした雰囲気にホッとさせられた。やはり本格ミステリーものは悪役と探偵が魅力的でないとその面白さは半減。ミステリー・ファン必見の作品でございます。
1954年/アメリカ/105分/監督:アルフレッド・ヒッチコック
DIAL M FOR MURDER

「3D映画として作られたのに日本では通常版しか公開されなかったとか」
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