電撃フリントアタック作戦

世界征服を企む女だけの秘密組織の陰謀を阻むべくスーパーガイ、フリントが活躍。「電撃フリントGO!GO作戦」の続編にしてシリーズ最終作。

アメリカ合衆国が有人宇宙ステーションの打ち上げに成功し、世界が湧いていた。同じ頃、ヴァージン諸島に本拠地を置くエステ・サロン「美顔クラブ」はある計画を実行に移そうとしていた。エステ・サロンは表の顔。実は美顔クラブは女だけの秘密結社で世界征服を目論んでいたのだ。早速、計画の第一歩として替え玉作戦を実行する。Z.O.W.I.E.(国際連帯秘密諜報機構)のアメリカ代表であるクラムデン(リー・J・コッブ)とゴルフを楽しんでいたトレント大統領(アンドリュー・ダガン)に接近し、人間の動きを止める装置を使い、まんまと偽者と掏り替えることに成功する。

だが、たまたまストップウォッチを使っていたクラムデンは奇妙な空白時間があることに気づき、疑問を抱く。フリント(ジェームズ・コバーン)に調査を依頼するも、イルカの音声辞典の編纂に忙しいフリントはクラムデンの依頼を重要視せずにデス・バレーでのサバイバル・テストが終了したら調査に取り掛かると約束する。しかし、美顔クラブの魔の手はフリントと共に暮らす3人の愛人にも忍び寄っていた─


フリントが帰ってきたぞ!イルカと語らい、バレエだってご披露しちゃうぞ!スカイ・ダイビング中に新聞だって読んじゃうんだぜ!そして今度の敵は女だらけの美顔クラブ!←なんじゃそりゃ。

とりあえずハイテンションで感想を書きはじめてみたが。一作目の有り得ないバカっぷりにしっかりヤラレて、勢い込んで続編であるこの作品も観たんだが。なんだかなぁ。なんなんだろうなぁ。なんか格段におバカ度が落ちてるぞ。前作で失ってしまったはずの83種類の機能を持つライターが何の説明もなく復活しておりマシタが、きっとフリントが金と知識にモノをいわせてまた作ったんだろうなぁと勝手に想像してみる。しかし一個人なのにエラいもん作るよな、フリントって。相変わらず2〜3種類しか機能はご披露してくれなかったケドな。前作で着信音が非常にツボった大統領専用の通信機は新機能を備えておりマシタ。

今回のフリントの愛人は3人。前作の愛人4人は引退して結婚したらしい。あ、そうですか。別に愛人が何人いようが構わないんだが、人数が減った上にビューティ度も下がっているのはこれいかに。前作では頭にデッカイ花を飾ってるお姉ちゃんとかクールビューティお姉ちゃん、アジアンビューティにグラマラスお姉ちゃんとバラエティに富んでたんだが、今回の愛人はどのお姉ちゃんも区別がつかん。そして美顔クラブのリサを演じるジーン・ヘイルがおばちゃん。スタイルもいまいち。この時点でかなり鑑賞意欲が下がる。スパイ映画にキレイなお姉ちゃんは必須です!

ストーリー展開もなんだかなぁ。前作はおバカとはいってもそれなりに緊張感があった。しかしこの続編はなんとも散漫な印象。編集も時々、意味不明なショットがあったりして疑問。そしてKORO的にこの作品で一番の疑問点は。…怖ろしいコトに「博士の異常な愛情」へのオマージュといいますか、パロディが含まれていることです!

アンタ、それはないだろ。フリントがロシアに行った件でロシアの首相が登場するんだが、その風貌に妙に既視感を覚えたワケですよ。どっかで見たぞ、このツルッパゲおっさん。そしてストーリー終盤で偽のアメリカ大統領が叫んだ台詞で唖然とした。“フッ素”とか言ってるし!あぁ、だから美顔クラブと結託してたカーター准将が○○○を奪う理由が明示されないワケか。ヤツはある意味リッパー将軍だったのか。なるほどねぇ。…って納得してる場合かッ!ふざけろ!どうして電撃フリントで「博士の異常な愛情」にオマージュを捧げなくちゃいけないんだよ!つ〜か全然オマージュになってないぞ。もちろんパロディにもなっておりマセン。怪しからんな、全く。

なんでも撮影途中でどういう理由かは判らないが監督が現場に来なくなったとか。残りの部分はジェームズ・コバーンが中心となって、どうにか撮り終えたらしいケド、そのためなのかどうにもこうにも作品全体に散漫な印象が漂っている。個人的理由でしか動かないフリントの性格が弱まっているのも残念。

クライマックスの美顔クラブの面々が考え出すお色気作戦なる戦法がバカ丸出しだったし、007より10年以上も先に宇宙に行った点は評価してあげたいが、全体的に有り得ねぇ〜と叫ぶほどのバカさ加減が影を潜めたのは残念なトコロ。数少ない見所は他作品では強面おっさんのイメージが強いリー・J・コッブの女装シーンでしょうか。「お熱いのがお好き」のジャック・レモンかとオモタ。
1967年/アメリカ/121分/監督:ゴードン・ダグラス
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2009.05.04記

「女は男より長生き、器用さは20%上、辛抱強さは比較にならないわ」
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