007/私を愛したスパイ

シリーズ最新第10弾特別記念超大作!シリーズ最大のスケールで放つ華麗なボンドの新しい挑戦!雪のアルプス…夕陽の砂漠…そして深海の大要塞へ…

イギリス、ソ連の原子力潜水艦が次々に消息を絶つという怪事件が発生。東西の緊張が高まる中、事態を憂慮した英国情報部は真相究明をジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)に命じる。調査のためエジプトに向かったボンドはKGBから派遣された女スパイ、アニヤ・アマソヴァ(バーバラ・バック)と遭遇。2人は協力して事件の解明に乗り出す。やがて一連の事件を操るのは海運王ストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)であることを突き止めるが…

水陸両用ボンド・カー、海底要塞、ジョーズ。ジェームズ・ボンドとして最も脂の乗ったロジャー・ムーアの007シリーズ第10作目。


ケン・アダムのデザインが素晴らしいねぇ。海底要塞アトランティス。曲線を多用した内装。壁一面に架かる絵画がせり上がると、そこは海の中。あんれま〜ッ!巨大タンカー、リバラス号内部のセットは巨大すぎて007ステージという特設スタジオを建設して組んだとか。セットとしてはあまりに巨大すぎてライティングに悩んだスタッフはカメラマン出身のスタンリー・キューブリックに相談したとか。えぇ、DVDの特典映像を舐めるように鑑賞しましたから。ケン・アダムの「007の世界をデザインした男」を繰り返し鑑賞しましたから。とにかく奇想天外だ!奇天烈だ!アナタがいたから007がいた!あ、ケン・アダムのことしか書いてない。あらまぁ。

え〜と。ムーア・ボンドも3作目ともなると、余裕が出てきて彼特有のウィットに富んだジョークが冴えてきてヨロシイです。颯爽とした身のこなしが正に英国紳士。そしてアニヤに○○のことを聞かれ、今までニヤけてたボンドが一瞬真顔になるトコもいいね!ただのエロスパイじゃないのよ!意外とナイーブなのよ!まぁ少々身体がユルイのは減点ですケドね。若く見えるが、この時すでに御年50歳だし。しかしムーア・ボンドになってからの前2作は割りと地味目だったのに、ナニを思ったか急にド派手かつ奇天烈になってしまったこの作品。ジョーズも見た目は恐ろしいが、コミカルなキャラだし。

アバンタイトルはアルプスでのスキー・チェイス。敵に追い詰められたボンド。そこは断崖絶壁。ボンド危機一髪ッ!しかしボンドですから。007ですから。躊躇うことなく断崖からジャンプ。一台のカメラが静かに落ちていくボンドを捉え続ける。スキー板が外れる。音もなく、しかし猛烈なスピードで降下していくボンド。谷底に落ちちゃうのかとハラハラしたら、アナタ。ユニオンジャック模様のパラシュートが開きましたよ。そしてそのパラシュートを支えるように女性の手のシルエット。カーリー・サイモンが歌う甘いテーマ・ソングが流れるメイン・タイトル。素晴らしいッ!しかし今だったら確実にCGだね。この作品ではスタントマンであるリック・シルヴェスターが決死のスタントを敢行。スタント史上に残る名シーンに息を呑む。

エジプトの風景もヨイ。ライトアップされたピラミッド、スフィンクス。エジプトのMの事務所なんてアブ・シンベル神殿内にありますから。そして現れる謎の男ジョーズ。歯が武器ですよ。2メートル越えの大男ですよ。久々に強敵ですねぇ。○○が3つあるとかいうワケのワカラン設定のスカラマンガの数倍強そうですねぇ。○○が趣味?のカナンガよりずっと手強そうですねぇ。まぁカルナック神殿での闘いぶりとか観ると歴代の悪役より一層マンガチックなキャラにはなってますが無問題。面白ければ可ッ。ストロンバーグも威風堂々としてよろしい。しかし名優クルト・ユルゲンスがよく出演したなぁ、この荒唐無稽な作品に。彼のおかげでストロンバーグ登場シーンは007シリーズとは思えない格調高さです。やってることはかなり荒唐無稽ですけどね。

今回のボンド・カーは水陸両用。ロータス・エスプリ登場。贅沢過ぎる。ロータス・エスプリが海水浴客でごった返すビーチに上陸するシーンは必見。「ムーンレイカー」、「ユア・アイズ・オンリー」にも登場するワインおじさんが初お目見え。

肝心要のボンド・ガール。バーバラ・バックがいいねぇ。軍服姿も「ぽっぽ〜ッ!」度が高いが黒いドレス姿もいいねぇ。知的かつセクシー。ヒールなボンド・ガールのキャロライン・マンローにも激しく「ぽっぽ〜ッ!」。ボンドでなくても「実に見事だ。ラインがいい」と舐めるように見つめちゃいマスよ!出番が少ないのは残念無念ですケド。う〜む眼福。

冒頭のダイブ、「ロシアより愛をこめて」ばりの列車内での格闘シーン、ヘリとのチェイスシーン、巨大タンカー内での攻防戦、いずれも派手でヨロシイ。ただストロンバーグとの一騎打ちはちょっとガッカリ。○○も○つなよ。それと主題歌以外はBGMがお粗末な気がする。

細かい不満点はありますが、ムーア・ボンドの傑作であることは間違いナシ。さぁ、アナタもケン・アダムの素晴らしいデザインの世界をご堪能クダサイ!←違
1977年/イギリス/125分/監督:ルイス・ギルバート
THE SPY WHO LOVED ME
2008.02.11記

「英国の任務遂行中です」
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