トロピック・サンダー/史上最低の作戦

落ち目のアクション俳優、下ネタ全開のお下劣コメディアン、やりすぎ演技派俳優が放り込まれたロケ地は本物の戦場だった!原案・脚本・製作・監督・主演ベン・スティラーが贈る、どこまでもクドくお下劣な戦場コメディ。

1969年のベトナム戦争の最前線で英雄的な活躍をしたというアメリカ人兵士ジョン・“フォーリーブ”・テイバック(ニック・ノルティ)のベトナム戦争回顧録“トロピック・サンダー”が映画化されることになった。この作品の出演者はスターへの返り咲きのチャンスを狙う落ち目のアクション俳優タグ・スピードマン(ベン・スティラー)、芸域を広めるために出演を決めたおなら以外に芸のないコメディアンのジェフ・ポートノイ(ジャック・ブラック)、黒人軍曹になりきるため手術で皮膚を黒くしてしまったオーストラリアのやりすぎ演技派俳優カーク・ラザラス(ロバート・ダウニー・Jr)といったクセ者揃い。他にもラッパー、企業家として大成功し俳優としても名声を得るために出演を決めたアルパ・チーノ(ブランドン・T・ジャクソン)と単なる頭数合わせのため新人俳優サンダスキー(ジェイ・バルチェル)といった面々で撮影が始まる。しかし爆破オタクの特殊効果マンのコディ(ダニー・マクブライド)がやたらとド派手な爆破シーンを連発させたり、俳優たちのわがままが繰り返されたりの日々で撮影5日目にして予算オーバーとなってしまう。イギリス人監督のデミアン(スティーヴ・クーガン)は言う事を聞かない出演者にウンザリ。おまけにスタジオ幹部から、このままでは撮影を中止すると脅され大弱り。困り果てたデミアンは撮影に同行したテイバックの助言により東南アジアのジャングルに俳優達を送り込むことにする。何も知らされず台本通りジャングルを徘徊する俳優たち。しかし、そこは凶悪な麻薬組織が支配する本物の戦場だった…


冒頭の劇中映画のトレーラーがいきなり手が込んでます。ホントの映画のトレーラーかとオモタ。どんだけ金遣ってんだ。トビー・マグワイアが嬉々として演じてマシタね。ちょっと「シン・シティ」のイライジャ・ウッドを彷彿とさせた。そしていよいよ本編。もう出だしからクドい、クドい。相変わらずベン・スティラーの笑いは灰汁が強いわ。「ズーランダー」もクドい笑い満載だったケド、さらにその上をいくわ。クドいわ、グロいわ、お下劣だわ。なのにエロ度はゼロ。なんでだよ!ま、一応戦争映画ですから。これっぽっちもキレイなお姉ちゃんが出てこない。それはちょっとヨクナイ。しかしコメディ映画なのに、とことんグロだなぁ。なんてったってこの作品。劇場版トレーラーにモザイクかけられてマシタからね。ビックリ。ま、実際に観たらメチャ作りモンなんだけどさ、その後のシークエンスがとてつもなくエグい。こりゃ女子供には受けんな。PG-12程度のレイティングでホントにOKなのかと真剣にオモタ。いや、ミー的には全然OKですケド。ベン・スティラーのクド過ぎる笑いがけっこう好きですから。デモ、これは日本ではヒットしないだろうなぁというのが正直な感想。

グロいシーン満載でお笑いも底抜けに明るい笑いではなくてブラック・ジョークなんで受け付けない人は全くダメかと思われますが、その点がクリア出来るのであればこの作品は結構オモロイと思うよ。アカデミー賞ネタのトコとか笑えるし。「レインマン」でダスティン・ホフマンが主演男優賞を獲れたのに何故、「アイ・アム・サム」でショーン・ペンが獲れなかったのかという件とか。「ははぁ〜なるほど」ってカンジ。あと「クロコダイル・ダンディ」という作品がどれほど画期的な作品かっつ〜トコ。えぇッ!みたいな。そんなにスゲェことなのかよ!

ベン・スティラー扮するダグがやたらと男前に見えてしまうミーは目が逝っちゃってるんでしょうか。否。男前だ!ついでにデカくはないがイイ身体してるし!そんな男前ダグがイメージ・チェンジを図って出演した「シンプル・シャック」をムリヤリを演じさせられるシーンは涙なくして観れません。感動のあまり涙するのとは違った方向ですが。ジャック・ブラックはベン・スティラーに好き放題しろと言われたのか、ちょっと浮いてるカンジ。まぁ役柄的には合ってるかと思う。ロバート・ダウニー・Jrはアンタ自身がやりすぎ俳優だろというくらいラザラス役がハマってマシタ。オーストラリア訛りと黒人訛りを瞬時に切り替えるトコなんか驚き。アンタ、アメリカ人だろ。白人だろ。ま、ミーのヒアリング能力ではオーストラリア訛りなんてほんの一部分しか判別出来なかったケド。ラザラスのモデルはラッセル・クロウ+ダニエル・デイ=ルイスなのか?

ベン・スティラーの盟友であるオーウェン・ウィルソンが出演していないのはやや残念だけど、マコノヘーも頑張ってたと思う。やたら「ティーボ、ティーボ」と連呼してたので「ティーボってなんだよ。レゴみたいな三角帽子かぶってロボットみたいな動きするバンドかよ」と思った。それはDEVOだ。ラストは意外にも感動チックだったなぁ。

あ、そうそう。公開直前にエラくネットで騒がれたので今さらネタバレでもないが敢えて伏字にしてみる。○○ちん(←ほとんど伏字じゃねぇ)の怪演。これは是非、スクリーンで確認しておきたいトコロ。因みにミーは悲しいかな彼の出演のコトは知っていた。一緒に観に行ったK元くんは全然知らなかったそうでミーが「○○ちんだよ」と言っても信じられなかったらしい。彼が脇汗垂らしながら妙チクリンなダンスを披露するシーンは必見。クドいし、メタボだし、脂ギラギラで言ってるコトがムチャクチャ暴君でワラタ。

当初予想していたよりはドタバタ度は低く、意外にも真面目な作りだったのはビックリ。ま、結局美味しいトコを持っていったのは○○ちんであったということか。
2008年/アメリカ/107分/監督:ベン・スティラー
TROPIC THUNDER
2008.12.31記

「ドライビング Miss デイジーのどこで指が吹っ飛ぶのか教えて欲しい」
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