ヤッターマン

1977年に“タイムボカン”シリーズ第2弾としてスタートし、同シリーズ最長の全108話が放映されたシリーズ屈指の人気アニメを実写映画化

高田玩具店のひとり息子ガンちゃんこと高田ガン(櫻井翔)は父が開発中だった犬型巨大ロボット、ヤッターワンを完成させる。そしてガールフレンドのアイちゃんこと上成愛(福田沙紀)と共に愛と正義のヒーロー、ヤッターマン1号・2号として週に1度、ドロンボー一味と戦っていた。ドロンボー一味とはドロンジョ(深田恭子)をリーダーとしたボヤッキー(生瀬勝久)、トンズラー(ケンドーコバヤシ)の三悪人。泥棒の神様ドクロベエの手先となって伝説の石ドクロストーンを探すために悪事を働く泥棒一味なのだ。どんな夢でも叶えられるというドクロストーンは4つに分解されて世界のどこかにあるという。今日も渋山ハッチ公前広場でドロンボー一味が操るダイドコロンと死闘を繰り広げるヤッターマン。辛くも勝利を収めたヤッターマンの前に現われたのは翔子(岡本杏理)と名乗る少女。実は彼女は考古学者の海江田博士(阿部サダヲ)の娘で博士が既に発見していたドクロストーンを預かっていたのだ。博士は2つ目のドクロストーンがナルウェーの森にあると翔子に言い残したまま、行方を絶っていた。翔子に父を探して欲しいと頼まれたガンちゃんとアイちゃんはドロンボー達が博士が立ち寄ったはずのオジプトへ向かったとの情報を得て、ヤッターワンに乗り込み出動する。


ヤッターマンがいる限り、この世に悪は栄えない!ヤッター、ヤッター、ヤッターマン!ハ〜ッハハハ!はい、ヤッターマンの感想終わった。ご苦労。相変わらずヤル気がない感想だなぁ。実はこの作品。観ようなんて気持ちはさらさらなかった。「チェンジリング」を観ようとシネコンに出かけてチケット売り場に並んでたら、ミーの前に並んでた5組が5組とも「ヤッターマン」のチケットを求めておりました。ありゃぁ〜人気だね。「りゅうせきだね、ながれいしだね、あ、流石だねぇ〜」と思っていたらミーの番。で、思わず「ヤッターマン一枚」と言ってるKOROちゃん、自称永遠のお年頃。自分で自分の言動にびっくらこいたわ。そんなに深キョンのボンテージ・ファッションが見たいのかよと自分を問い詰めてみた。よくワカランがミーは立派なタイムボカン世代だ。よっしゃ、どんな出来になってるのかじっくり鑑賞してやろうじゃねぇか。かかってこい。

冒頭の渋山ハッチ公前広場の戦いにすっかりノックアウトされました。どういう世界観なんだ。都会のド真ん中で遠慮ナシに暴れるドロンボー一味とヤッターマンにびっくらこきました。原作アニメを彷彿とさせるメカにもびっくり。全カットの90%がCGだとか。とりあえずCG使っとけみたいな作品が溢れかえっている昨今ですが、この作品のCGの使い方はヨイと思うよ。あの荒唐無稽でスラップスティックなオリジナルアニメを実写化と聞いた時には「またかよ」みたいな気分になったが、この作品はアタリ。オリジナルアニメの雰囲気が見事に再現されております。冒頭からおバカ度最高潮で嬉しくなっちまいましたよ。ドロンジョ様が○○ボタン押しちゃうとことか。

CGをふんだんに使いながら敢えて等身大で実際に作ったヤッターワンがこれまたいい。高田玩具店の地下ガレージにヤッターワンが堂々とした姿で現われた時は思わず「おぉ〜ッ」と唸っちゃいマシタよ。総額5,000万円らしいですよ。実物大で再現されたヤッターワンは実際のところ、後ろで誰かが押さないと動かないらしい。動きもしないヤッターワンにごせんまんえんッ。三池監督の素晴らしすぎる金銭感覚に脱帽です。製作費20億円をかけたといわれる当作品ですが動きもしない実物大ヤッターワンとドロンジョ様の衣装やバスルームにその大半が費やされたんじゃないのか疑惑大発生。いや、いいんですけど。

ストーリー展開は完全オリジナルというワケではなく原作アニメのエピソードを極力意識した作りになってるのもタイムボカン世代としては嬉しいかも。冒頭の戦闘シーンはアニメの第一話のクライマックス部分ですな。ドロンボーメカもオリジナルアニメのメカをリファインしておりますよ。KORO的にはウェディングベラーズから着想したバージンローダーの造型がかなりツボ。どのメカもオリジナルの予算もセンスもないというドロンボーメカの特徴をしっかり押さえててイイ。その間違えちゃったデザインがなんともイカス。

キャスト陣も頑張っておりました。演技ははっきりいって痛いがその痛さが逆にいい。作風に合ってると思う。ミーは序盤のオジプトでのシークエンスでガンちゃんが「さそりだ」と意味もなくニヤつくシーンに盛大に吹きマシタよ。その後のアイちゃんに全力で「そこをどけッ」と言い放つシーンもクスクス笑いが止まらんかった。アイちゃん扮する福田沙紀が冒頭の戦いで「いい年して恥ずかしい」とばかりに「シビレステッキ」とヤル気なさげに言う台詞に一発で惚れましたからね。ヤッターマン2号のコスチュームも非常にサマになっておりマス。ヒップラインがエェ←どこのスケベおやじだ。

冒頭の戦闘シーンで唐突に現われる翔子ちゃん。演技は素人だが可愛い顔に反してお笑い部門を一手に引き受けている点は褒めてあげたい。鼻血垂れるわ、太もも顕わだわ、ガニ股だわでホント、監督の三池崇史は美少女をいたぶる趣味でもあるのかと勘繰ったよ。

ドロンボー一味。ボヤッキーを演じた生瀬勝久は正にハマリ役。ボヤッキーのドロンジョ様に注ぐ献身的な愛情ぶりを見事に表現しておりマシタ。それと女子高生好きなとこもな。トンズラーも人情家である彼の一面がちゃんと表現されておりました。「ボヤヤンッ」と叫びながら○○○を吐くシーンはベタながら大笑い。そしてドロンジョ様。イイッ!オリジナルのドロンジョ様は熟女イメージが強かったけど、深キョン版は小悪魔的要素の強いドロンジョ様ってカンジ。とにかく三池監督の深キョンをどれだけカワイく撮るかということに腐心したと思われるショット満載です。アイちゃんや翔子ちゃんも可愛かったがドロンジョ様の前では霞む。バスルームシーンなんて興奮必至。お父さん、観ておくべきですよ。

映画版のオリジナルキャラである海江田博士を演じる阿部サダヲ。娘役の岡本杏理と並んだショットでその頭のデカさがあまりに違うのにまず驚いた。それと多分、アドリブであろうと思われる「金○」連発の台詞に大いにワラタ。ミーはウ○コとかチ○コとかいう言葉でバカウケする小学生レベルの笑いの感性なのであのシーンにはバカウケしましたよ。スゲェ深刻な顔で「○玉がぁ〜」とのたうち回る阿部サダヲに拍手喝采。

細部に徹底的にこだわった美術には感心を通り越して呆れるばかり。メリーDORO内部やどくろ鮨店内の偏執的と思えるセットの拘りぶりは必見ですよ、女子高生のみなさん。ギャグに関しては大笑い出来るというレベルじゃないが全編に漂うユルさがミー的にはかなりツボ。ヤッターワンが出動する際にさり気なく「○○○カードが○○されました」と入るとことか。ヤッターワンが海上を爆走するシーンやジャンボパチンコの件とか。ユルギャグ満載。

アクションものとしてみるとスリル度は皆無で中盤はややダレるし、クライマックス部分も正直盛り上がりに欠けるが、オリジナルアニメの雰囲気を損なうことなく、しっかり実写化した点は評価したいですね。名台詞もてんこ盛りだし、「天才ドロンボー」がフリ付きで拝めちゃうし、勝利のポーズももちろんあるし。あまりアニメや漫画を実写化した作品には好印象を持ったことがないミーですがこの作品は大いにウケタ。いいもん観させてもらいました。
2008年/日本/111分/監督:三池崇史
ヤッターマン
2009.03.14記

「いい女は振り返らないものなんだよ」
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