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12 KOROちゃん初体験へ 14 白の靴下へ

600万円の男

あるところにオーカドさん(仮名)という男性がいらっしゃいました。このオーカドさん、地元のレストラン業界では知らない人はいないというくらい有名な方です。天才料理人?ノンノン。大繁盛レストランをいくつも経営する大社長?ノンノンノン!彼は市内一円、ありとあらゆるレストラン、はてはラーメン屋さんであろうが、焼肉屋さんであろうが外食産業なら働いたことがないって店はないっ!と断言出来る程、渡り鳥な方なんです。もしくは堪え性がナイともいう。

デモ、別に不真面目なワケじゃないんです。超がつくほど真剣な働きぶり。その上もう驚くほどの丁寧な接客で、お客様はまるで王侯貴族のような気分味わえるコト必至。ケド、ある意味かなり違う方向に情熱が走るタイプではある。ついでに気まぐれだったりもするらしい(それって不真面目じゃ?)

ある冬、珍しく大雪が降った日などは誰に頼まれたワケでもないのに、駐車場から入り口までおよそ30メートルはあろうかという通路をそれは丁寧に雪かきしたりトカ。真冬なのにオーカドさんの額には汗がキラリッと光っていたらしい。しかしその雪かきの間はどんなにホールが忙しかろうと知ったこっちゃないワケですが。

フレンチレストランで働いていた時は毎晩決まった時間になると、オーナーが帰宅前の一杯を楽しむ為に上の階から下りてきます。もちろんお世話はオーカドさんの役目。水割りを差し出す時はホスト座り(?)で両手でグラスを静かに、絶妙のタイミングでサービス。オーナーが帰る時は寸分の狂いもなく車を手配し、玄関までお見送りし、オーナーの乗った車が角を曲がって見えなくなるまで(その距離推定50メートル)90度のお辞儀で微動だにせず。もちろん、店内が予約でいっぱいだろうとクリスマスで超大忙しだろうと関係ナシ。オーカドさんのサービスは広く、公平にではなくて狭く、ディープ!なんです。小さなコトだけコツコツとつ〜か。

で、若かりし頃の私もそんなオーカドさんと働く機会がございました。まぁ地元で外食系で働いたらオーカドさんと出会わない方が難しいケド。当時私が働いてたフレンチレストランで結婚披露宴があり、以前働いてたオーカドさんがヘルプにいらっしゃったワケです。何故か当時私はそこでホール責任者。10以上も年上のオーカドさんが「KOROさま、お次は何を致しませう?何なりとおっしゃってくださいませ」 などと言ってバリバリ働いてくださいました。何故かその時は広く、公平なサービスでございました。

で、オーカドさんのおかげもあり無事披露宴は終了。まぁその時は特に何もなかったワケですが、後日その時のバイト料を受け取りにやってきたオーカドさん。なにやらチーフとこそこそやってました。予約もなくヒマな時間を過ごしていた私をチーフが呼びました。お客様にテーブルの準備が出来るまで待っていただく、ウエイティングルームへ行けと命令されマシタ。何故に?という疑問のまま、向かうとそこにはオーカドさん。ミスターオクレにそっくりなオーカドさん。妙に緊張してるオーカドさん。笑顔で「どうかされました?」と聞きますと、いきなり…

「KOROさんの怖さの中に光る魅力に惹かれましたッッ!不肖オーカド36歳ッ!真剣に結婚を前提としてお付き合いしとうございます!」と大絶叫。呆気に取られ、ナニも言葉の発せない私。ちゅ〜かまともに会話したのはこの前の披露宴が初めてだぞ?あと怖さの中に光る魅力ってなんやねん?しかし私を置いてけぼりのままオーカドさんの驚愕のさらなる攻撃!いきなりぺたっ!とおでこにナニかを貼り付けつつ、「不肖オーカド36歳!これでも持参金600万円ございます!」 …なんかおでこに600万円て書いた紙貼ってるし…。ついでに「不肖オーカド36歳!(しつこい)ブリーフ派でございます!」トカ言ってるし。ブリーフ派だったらミーがコロっと参るとでも?それってアナタの勝負パンツ?もうアメージング過ぎてKOROちゃん眩暈ものでした。

この時なんと言って断ったのか全く記憶にないのですが、かなり後々までお店のスタッフに「600万円を棒に振った女」と呼ばれてマシタ…。ついでにチーフには「お前は絶対ブリーフ派と思ったのになぁ!」とか言われたり。お前か!オーカドさんに変な知恵つけたのは!

あれからン年。オーカドさんの持参金が増えたのか、それとも無事ブリーフ派な方と巡り会えたのかはミステリーでございます。