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24 軍艦島クルーズへ 26 その男まっちゃんへ

シンクロニシティ

その日も残業だった。なんだか真っ直ぐ帰る気が起きず、自宅とは反対方向へと向かいイ○ンへ。ウィンドウショッピングしたり晩ご飯を食べたりする。その後、特に目的もなく店内をブラついていたら1人の男性とスレ違った。10数年前に同じ職場で働いたMKくんだった。一瞬、人違いか?とは思ったが絶対彼だ。ミーは人の名前は忘れても顔は忘れないのだ(おっさん、おばさんの顔除く)。ついでにTシャツの袖を肩まで捲り上げる着方もMKくんと同じだ!Tシャツにジーンズ、手にはセカンドバッグという微妙なセンスも10数年前のMKくんと寸分の違いもないッ!つ〜かどうなのよ、セカンドバッグって。有り得ねぇだろ。10数年前はアリだったかもしれんよ。今はナシだろ。とにかくファッション、髪型、歩き方まで昔のMKくんそのまんま。MKくんの彼女と3人で当時はしょっちゅう遊んでたので間違いないッ。まぁミーは写真を撮る度に顔が違う女ですから(ついでにMKくんは記憶力低い)、向こうはこれっぽっちも気付いてなかったワケですが。奇遇だなぁ〜と思いつつMKくんを何気なく尾行してみる。え?別にストーカーじゃないですよ?単に彼の奥さんの現在が見たかっただけですッ!

一緒に遊んでた当時のMKくんの彼女も同じ職場で働いていた子。すっごくキレイな子でMKくんの完全なる一目ぼれ。プッシュ、プッシュの一手で無事、お付き合いすることに。まぁとにかくキレイな子だったよ。芸能人に例えると誰だろ?松岡きっこ?…ムチャクチャ古いわッ。しかもちょっと違う。賀来千香子みたいなカンジ?思いつかん。ホントにマジでキレイな子でモデルとかもしてた。キレイだわ、スタイルいいわ、オシャレだわな女の子でしたよ。しかしブランド品大好きでムチャ金が掛かるという、おまけもあったワケだが。対するMKくんはまぁカッコ悪くはないが(身長は180cm近くあった)、ファッションに興味は全くなく、ごくごくフツーの青年。特記事項は好きなミュージシャンがチューブということでしょうか。…なんか微妙に香ばしい趣味だな。まぁチューブとかあ〜夏休みぃ〜♪とかはおいといて。

MKくんの彼女に対するのめりこみようはそれは傍で見てるだけでも暑苦しいまでに激しくて、毎日欠かさず彼女を家まで送っていた。家まで送り届けるなんてフツーだろなんて思っちゃいけマセン。当時、彼は車を持ってませんから。JRで送ってましたから。しかも職場からJRで1時間以上かかる彼女の自宅まで、毎日。因みにMKくんの自宅は職場から徒歩20分。職場の最寄駅まででヤメときゃいいのに、それでは淋しいッ。もっと一緒にいたい!というわけでJRに一緒に乗って彼女の自宅の最寄り駅まで毎日送る。そしてとんぼ帰り。はっきり言ってアホですよ。まぁ彼にとってはそんなの序の口ですから。元カノの時はもっと凄絶としかいいようがなかったですから。MKくんは一時、横浜で働いていた。で、彼女が出来た。しかし横浜の職場を辞める事になり実家のある北九州へ帰った。しかし彼女とは別れなかった。遠距離恋愛のはじまり。20歳そこそこのヤングメン(死語)なMKくんが彼女に会いたいっつ〜っても福岡〜横浜という遠距離具合からして会えるのはよくて数ヶ月に1度と思うのは素人考えですよ、アナタ。MKくんは毎週末、横浜に通ってマシタから。仕事が終わると夜行列車に飛び乗って。そして彼女に数時間会って、また夜行列車に乗って帰ってきてた。アホです。正真正銘のどアホです。デモ、抜群の体力と忍耐力は持ち合わせてマス。夜行列車だと横浜に着くまで14〜15時間掛かってたんじゃないかと思われマスから。どんな理由で元カノと別れたかは知らんが、元カノがMKくんのコトが鬱陶しく(若しくは怖く)なって別れたに3000点。

MKくんの激情型恋愛模様のエピソードはそれこそ、巨万とあるのだが余りに暑苦しいので割愛。まぁとにかく紆余曲折はあったが彼女とその後、結婚して子供も産まれた。彼女はMKくんと付き合いだして、しばらくして職場を辞めたケド、たまに遊びに行ったりして付き合いはあった。しかしミーも職場が変わったりと色々あったので次第に疎遠になったワケ。2人のことはたまに思い出すことはあってもまさか偶然とはいえ、再会するとは夢にも思っていませんデシタよ。「MKくんじゃない?」と話しかければ尾行なんてしなくとも近況が聞けたとは思うが、MKくんはミーと話したくはないと思うんだよね。なんとなくだけど。当時のミーの彼氏はMKくんの先輩にあたる人だったんだけど、仕事のことでMKくんがちょっとした問題を起こしたことがあって疎遠になった原因の一つだったりするワケで。まぁ記憶力の低い彼のことなのでそんなコトはキレイさっぱり忘れてるとは思うが、ついでにミーの存在自体も忘れてる可能性大。

とにかくミーはMKくんの現在よりも今は奥さんとなった彼女の“今”が見たいッ!キレイでスタイル抜群でいつも上から下までブランド品で固めていた彼女の現在が激しく見たいッ。彼女は家庭に入ったら、働く気ゼロの人だった。かといって家事が得意なワケでもなかったケド。料理のレパートリーはイギリス人もびっくりの5パターンくらいしかありマセンでしたからね。お好み焼き、カレーライス、スパゲティナポリタン、かぼちゃの煮つけ、カレードリア(それってカレーライスをオーブンに入れただけだろ)。ついでに掃除も苦手。四角い部屋を丸く掃くみたいな。まぁキレイでスタイル良くてオシャレな上に家事が得意だったりしたら話になりマセンよ。ミーが彼女と結婚したいくらいですよ。誰だって苦手な分野はある。とにかくMKくんの奥さんが今もあの彼女だったら、どれだけ所帯じみて、当時の美しさを保っているのか是非とも拝みたいッ。えぇ、えぇお下品な野次馬根性ですよ。ご老体の悪趣味なお楽しみですよ。しかしなんと言われても構わん。見たいもんは見たいんだよ!因みに離婚して奥さんが別人というのもそれはそれで見たいと思いマシタ。すんませんね、とことんお下劣で。

しかし。MKくんを尾行するが一向に家族と合流する気配なし。店内の100均ショップに入ったのでミーもついていくがMKくんは興味なさそうに商品を見るだけ。…アンタ、無意味にブラついてるだけなのか(自分もだろ)。奥さんや子供に厭われて所在無くイ○ンで時間を潰す淋しい中年男なのか?などいらん心配をしながら様子を伺ってみたが全く家族が現れる気配ナッシング。しかも唐突に進行方向を変えたMKくんがミーの方に向かってきた。尾行5分でターゲットに目視される。お下劣探偵ミッション失敗。

なんか疲れたので店内のスタバで休憩してみる。席についてアイスカフェモカを飲んでみる。前方斜め前の席に5歳くらいの女の子を連れた女性発見。どう見ても子供にもアイスカフェラテ系の飲み物を与えとる。ったく、なっとらんな!お子ちゃまにスタバなんて贅沢だ!大体ミーが5歳の頃は水道水が基本だったぞ!たまには大きなお風呂に入ろうと連れていってもらってた銭湯でコーヒー牛乳が飲みたい!と必死に訴えても「ダメ!小学生高学年になってから!」とワケのワカラン年齢制限を設けられてフルーツ牛乳しか飲ませてもらえなかったんだぞ!と勝手に憤ってみる。すんません、古い人間ですから。とにかく未就学児に平気でコーヒー飲料を与える親はどんな親だ?と見てみたら。…え〜と。MKくんと同じ時期に同じ職場で一緒に働いてたエリちゃんですか?当時より若干、痩せて老けてはいるがエリちゃんですよね?娘に話しかけるその女性の声は間違いなくエリちゃんの声でしたヨ。独特な声のトーンといい、特徴的な話し方といい、エリちゃんそのまんま。あんれまぁ。

彼女も素晴らしく激情型恋愛体質の子だった。19歳〜20歳頃にフランスのホテルで働いてたんだけど、ソルボンヌ大学に通う日本人の男の子と知り合った。異国の地で同じ日本人に知り合いになるだけでも嬉しいとは思うが偶然にもその男の子とエリちゃんの誕生日が同じだったから、さぁ大変。これはデスティニー!2人は出会うべくして出会った!知り合って数日で彼氏の下宿先に押しかける。そして毎晩、寝入った彼氏の耳元で「エリと○○(彼氏の名前)は結婚する★」と愛の呪文を囁いてましたぁ♪と屈託のない笑顔でミーに語ったツワモノです。恐るべしデスティニーパワー。まぁお互いに日本に帰ってきても付き合ってはいたが彼氏が関東とやはり遠距離恋愛だったせいか、エリちゃんの鬱陶し過ぎる程に濃い愛に彼氏が辟易としたのか定かではないが帰国後、間もなくして別れた。あれだけ熱くなっていたのに意外と別れた時はあっさりしてたな。まぁすぐに次の彼氏を見つけて、出会って一週間後には結婚すると騒いでましたけどね。

なんなんなんだ。イ○ンは再会の場所なのか?しかも同じ日に2人。そして昔の同じ職場の人。同じ暑苦しいタイプ。偶然にしてはあまりに偶然度合いが激しくはないですか?しばらく口ぽか〜ん状態。うっかり来るんじゃなかった。この次は彼ら以上に暑苦しい性格の2人と同じ職場の上司とかに遭遇しそうで寒気がしたよ。男なのにオバタリアンそっくりだった上司には絶対、会いたくないッ。朝まで生討論が趣味だった上司には金輪際、会いたくもねぇ。その上司の実家はイ○ンのご近所だよ。ヤバい。来店レベル危険度4。退避を勧告します。帰るぞ、駆け足で帰るぞ。これ以上誰かに会ったら、心肺停止だぞ。

世の中には偶然が満ち溢れているとは思うが、これは何かの前兆なのか?